翻刻
恋(こひ)の湊(ミなと)露(なさけ)の出島(でじま)
名代(ミやうだい)聟(むこ)ハ娘(むすめ)の為(ため)に是ぞ出島の砂糖(さとう)の甘(うま)ミ
いづれの島(しま)いづれの國(くに)にやありけん深圖(ふかづ)甞(なめる)といふ者(もの)あり
田畑(でんばた)あまた持て近郷(きんごう)にかくれなき郷士(ごうし)なりけるがきハめて
醜男(ふをとこ)にて色(いろ)ハ薄(うす)墨(ずミ)を流(なが)したるが如(ごと)く鼻(はな)ひらけ口大きく
目ハ猿(さる)の如し生得(しやうとく)色好(いろごの)ミにして足ることを知(し)らぬ小人(せうじん)なれバ
慾(よく)あくまで深(ふか)く常(つね)に物好ミにて家柄(いへがら)器量(きりやう)すぐれし
うへに持参金(ぢさんきん)あまたある女房(にようぼう)をもたんものをと年(とし)ごろ