翻刻
【左丁】
みや仰けるはいかに〳〵かた時もたち
さるへくもおほえす千世を百ゝよと
もかさねたくおもひ候へとの給へはひ
めきみも心ならすちからなしひよくれ
むり【比翼連理】の御契あさからすやう〳〵しのゝ
めもあけとりのこゑもきこえぬれは
あけかたき夜半のしけきにをきわか
れ【起き別れ=共寝した男女が朝別れる】御なをしひきつくろい袖のうへつ
ゆけきありさまなりくれなはとく
とちきり給ひてあかぬわかれ【飽かぬ別れ=なごりつきない別れ】のうつり
【左丁】
か【移り香】御身にそひてかへらせ給ひくるゝを
おそしとをほしめしけり無神月
のころにやいとくらしかたくやう〳〵
まちくらし給ひてまたときわはかり
御ともにて入せ給ひぬ秋の夜なかし
と申せともあふ人からにはあくるも
ほとなし今は一夜のへたてもなく
あさからすかよひ給へはしのふとは
おほしけれとも姫君のまゝはゝはり
まの三位きゝつけてよはあかつきに