翻刻
絵本太閤記二編巻之四
藤吉郎 破_二磯野丹波守(いそのたんばのかみをやぶる)_一
孔明(こうめい)街亭(かいてい)に破(やぶ)られて琴(こと)を弾(たん)じて仲達(ちうだつ)を去(さ)らしめたるは孔明(こうめい)が
才智(さいち)仲達が上にありて仲達が才(さい)を使(つかふ)て仲達を去(さ)らしむ信長の
五 段備(だんそな)へ磯野が勇(ゆう)にあたりがたく悉(こと〴〵)く破(やぶ)れ今は籏本(はたもと)の一備(ひとそな)へのみなり
ければ誰(たれ)か是(これ)を勇(いさ)まざらん破竹(はちく)の勢(いきほ)ひにて惣(そう)がゝりにすゝみけるが
磯野丹波守(いそのたんばかみ)馬をとゞめ味方(みかた)の兵(へい)士をかへり見て申けるは心得(こゝろへ)ぬ事
かな此 敵(てき)こそ信長が籏本の先手(さきて)なれば大勢にて尤(もつとも)堅固(けんご)に構(かまゆ)べき
をわづか一千 斗(ばかり)の兵卒(へいそつ)にてしかも隊伍(たいご)とゝのはず備(そなへ)も立ずまばらに
陣(ぢん)をかまへたるは奇計(きけい)をなして味(み)方を討(うた)ん手段(しゆだん)なるべし其上 瓢箪(ひやうたん)の
馬 印(しるし)を立たるは織田家(おだけ)の謀士(ぼうし)猿面冠者(さるめんくはじや)木下藤吉郎也此者 正成(まさしげ)