みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

塩原繁昌記 全 - 翻刻

塩原繁昌記 全 - ページ 27

ページ: 27

翻刻

送(おく)りて跡(あと)を晦(くら)まし影(かけ)を隠(かく)す貞能(さたよし)|自謂(おもひ)らく 山淺(やまあさ)くして人近(ひとちか)し宜(よろし)く幽谷(いうこく)に移(うつ)るべしと 遂(つゐ)に塩原(しほばら)の山中(さんちゅう)に分入(わけい)り草庵(さうあん)を結(むす)びて此(この) 霊像(れいぞう)を安(あん)じ信心(しんじん)を晨花(しんくは)の紅(くれなへ)に染(そ)め戒光(かいくわう)を 夜燈(やとう)の輝(かヾやき)に照(てら)すこと幾歳月(いくさいげつ)なるを知(し)らす 妙雲尼(めううんに)|逝(せい)するに逮(およ)び其法名(そのほふめう)を寺(てら)に題(だい)して 妙雲(めううん)と号(ごう)す云々(しか〳〵)|寺(てら)の西北(さいほく)隅(くう)なる瀧(たき)の傍(かたわら)に 今(いま)禅尼(ぜんに)の墓(はか)あり笠石(かさいし)は九級(くきう)塔石(どうせき)に文字(もんじ)を 刻(こく)せず古色宛然(こしょくえんぜん)として實(じつ)に鎌倉時代(かまくらじだい)の物(もの) と思(おも)はる又(また)寺中(じちゅう)に永禄(えいろく)五年の華鯨(つりかね)|勧進簿(きわんじんちゃう) を蔵(ぞう)す殘夢禅師(ざんむぜんじ)の筆跡也(ひつせきなり)|書法(しよほふ)|絶妙(ぜつめう)|唐代(とうだい)の 調(ちょう)あり一説(いつせつ)に義経(よしつね)の臣(しん)常陸坊(ひたちばう)と云者(いふもの)|義経(よしつね) 蝦夷(いぞ)へ渡海(とかい)の後(のち)所々(しよ〳〵)を遍歴(へんれき)して遂(つゐ)に入禅(にうぜん) し後又(のちまた)仙術(せんじつ)を得(え)て千歳(せんざい)の壽(じゅ)を保(たも)ち一(ひと)たび 雲巌寺(うんがんじ)に住(じゅう)して殘夢(さんむ)と号(ごう)すと予(われ)|今(いま)|是非(ぜひ)を 論(ろん)ぜす茶話(ちゃばなし)に聞處(きくところ)を筆(ひつ)するのみ