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コレクション: STAGE8

天明奇畧 全 - 翻刻

天明奇畧 全 - ページ 24

ページ: 24

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但(たゞし)《割書:後には二百文|余近にいたれり》此時銭相場金壱両(このときぜにそうばきんいちりやう)ニ付五|貫(くわん)二百文|替(かべ) なりと言ふ 奥州(おうしう)の中にても飢饉甚(きゝはなはた)しき村〻(むら〳〵)の者共喰(ものどもくふ)べき 術(じゆつ)のなきは穀物(こくもつ)の少(すこ)しも有(あり)ときゝ|及(およ)べる所(ところ)へは遥〻(はる〳〵) と志(こゝろざ)して家族皆連(かぞくみなつれ)だちて乞食(こつじき)に出しが多(おゝ)く ありと聞(きこ)へけり其中にわきて貧敷(まづしき)は金銭(きんせん)もなけれは 途中(とちう)ニ而|食餌(しよくへ)にとほざかり日をかさねしにつれて 身(み)おとろへ其上|遠路(へんろ)の疲(つか)れに堪(たへ)かね山|道抔(みちなど)に 差(さし)かゝりては倒(たを)れ死(し)せし者も夥(おひたゝ)しく有(あり)ける由(よし) 何国(いづく)の誰(たれ)と言名(いふな)も知(し)れず尋問(たづねとふ)べき人もなけれは ついには鳥獣(てうじう)の餌食(ゑじき)となれりいと哀(あわ)れなる事 なりし又|家(いへ)を去(さ)らずして有(あり)し者(もの)の中には餓(うへ)に 堪(たへ)かねて自分首(しぶんくび)を締(くゝ)りて死(し)し或(あるい)は井戸川へ身(み)を 投(なげ)て死(し)し親(おや)に別れ子を捨(すて)る者幾何人(ものいくなんにん)といふ 数限(かづかぎ)りもなかりし殊(こと)に幼(おさ)なき子の餓(うへ)しは母の 乳房(ちぶさ)に取(とり)すがれども母も又|食(しよく)に遠(とふ)ざかりし