翻刻
一同郡三嶋村にて十月麦ノ穂出ルとて
一武州榛沢郡の内ニて十月桑の実なる
一奥州ニて八月雪弐尺余九月壱尺七寸ふる也
一七月四日朝八月五日の朝日輪くれないのことし
一出羽奥州にて七月三日朝日輪二面見えると也
一上州碓井郡の内にてハ九月かきの花ひら〳〵
右陽気不調なる事ハ土を動かし煙り日々に雲のことく
なる故照りうすく土|湿ヒへる)る故か灰砂降り花実に硫
黄あり万物雨露のほどこしを得ず春夏秋に
一凡天地開闢以来の惣石高直の相場諸人難義
村々領人飢死其数をしらす喰事の金銭ニ
つき難し依之くぞと申ふじの根ととろの根
おのねきのほやしろいうしびろわらひの根松の皮
けれの皮藁の|粉(こ)種々の根其外一切の糖まても
食物とす日本四拾弐ケ国の飢饉なりといふ後生恐る
べきは天変也