翻刻
自序
むかし〳〵の大(おほ)むかしばゝアは川(かわ)へせんたく
に。ぢゝイは山(やま)に柴(しば)きりにと。児(こ)ともすかし
の御伽(おとき)噺(はな)し。夫(それ)にはあらで白石(しろいし)の。ちゝイが昔(むか)
し柴(しば)きりに。山(やま)に上(のぼ)りて餉(ひるげ)時(とき)。水(みつ)を尋(たつ)ねて
沢(さわ)辺(べ)に下り。鎌(かま)の先(さき)もてかへさぐり。
見出(みだ)した。温泉(おんせん)なればとて。今(いま)鎌先(かまさき)の
湯(ゆ)と号(ごう)し。竭(つく)るとき無く東流(とうりう)して
疾病(しつへい)患者(くわんじや)の助(たす)けとなるは。郭巨(くわつきよ)が見
付(つけ)けた金(こがね)の釜(かま)よりも。末世(まつせ)に伝(つた)ひて