翻刻
|靄(かすみ)及(およ)び|霧(きり)は|空気中(くうきちう)に|含(ふく)める|水蒸気(すいじやうき)、|地(ち)に|近(ちか)く|凝(ぎやう)
|聚(しう)して、|細微(さいび)なる|水球(みつたま)となり、|正(まさ)に|滴下(てきか)せんと|欲(ほつ)
すれども、其|地(ち)は|空気(くうき)より|温度(おんど)|多(おほ)きが|故(ゆゑ)に、|滴下(てきか)
する|能(あた)はずして、|地上(ちしやう)|若(もし)くは|水上(すいしやう)に|懸在(けんざい)するを
云ふ、
|雨(あめ)
|水(みづ)|蒸気(じやうき)となつて|空中(くうちう)に|昇(のぼ)り、|凝聚(ぎやうしう)して|滴状(てきぜう)をな
し|再(ふたゝ)び|地上(ちじやう)に|降(くだ)る之を|雨(あめ)と号(ごう)す、|雨(あめ)は其|初(はじ)め|稠(てう)
|密(みつ)なる|湿霧(しつむ)にして、|其(その)|細微(さいび)なる|分子(ぶんし)、|相抱合(あいほうがう)して
|稍(やゝ)|大(だい)をなし、|終(つひ)に|円形(えんけう)の|雨滴(うてき)となりて|地(ち)に|降(くだ)る
ものなり、これ|諸物質(しよぶつしつ)の|持(ぢ)すべき|造化(ざうくわ)|自然(しぜん)の|法(はう)
にして、|流動体(りうどうたい)は|殊(こと)に|此(この)|法(はう)に|属(ぞく)すべきものにて、
|即(すなは)ち|重力(ちようりよく)と|凝聚力(ぎやうしうりよく)との|作用(さよう)によるものなり、|此(この)
|理(り)は|高崇(かうそう)なる|砲台(はうだい)より、|溶解(ようかい)せる|鉛(なまり)を|滴下(てきか)せば
其|降(くだ)る|際(あいだ)、|自(おのづか)ら|雨滴(うてき)の|形状(かたち)をなすを|以(もつ)て|証(せう)すべ
し
|雨(あめ)の|量(りやう)
|地球上(ちきうしやう)の|各地方(かくちはう)に於て、|年々(ねん〳〵)|降(くだ)る|所(ところ)の|雨(あめ)の|量(りやう)、|常(つね)