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コレクション: STAGE9

地震津浪末代噺の種 全 - 翻刻

地震津浪末代噺の種 全 - ページ 12

ページ: 12

翻刻

《割書:大地震|大津浪》忠臣蔵《割書:九|段》秡文句      《割書:目| 》 【上段】 寒空(さむそら)といひ  此度の おもひがけない ぢしん 仕(し)よふを爰(こゝ)に  大道の  見せ申さん  小やがけ とんと絵(え)に  大黒はしのふね  書(かい)たとふり はんこうニ引合        してゐる人 折角(せつかく)おもしろふ ぢして茶屋   えふた酒    とんで出る客(きやく) たすきはづ  昼(ひる)めし前の して飛(とん)で出る  ゆさ〳〵 見上られいと  用意(ようい)の  さし出(いだ)す   気(き)つけ 飛脚(ひきやく)が来(き)たらば  遠方(えんほう)へ  しらせいよ   出(だ)す手かみ おまへなり  大工方 わたしなり  手伝 是は〳〵  往来(わうらい)で瓦(かはら)が  いたみ入 おちてけがした人 わたしが役(やく)の  大地しんで   二人(ふたり)まへ  にはかニ男世帯(をとこせたい) いかにやくそく  津なみで  なればとて   死(しん)だ人 【下段】 様子(やうす)に依(よつ)ては  諸方の きゝ|捨(すて)られぬ  大つなみ おやの欲目(よくめ)か  新たち  しらねども  家にゐる人 そりや真実(しんじつ)か  大こくはしの  まことかと   噂(うはさ)を聞(きく)人 家(いへ)にも身にも  銘々(めい〳〵)にかねを かへぬ重宝(てうほう)   わたして           逃す人 途方(とはう)にくれし  在所(さいしよ)の親(しん)るいゟ をりからに   むかひに来(き)た人 がてんがゆかぬ  つなみで止(やん)だと コリヤどふじや  おもふに又ゆさ〳〵  遊興(ゆうけう)に耽(ふけ)り大(おゝ)  見舞かこつけ  酒(ざけ)に性根(しやうね)を乱(みだ)し  茶やへ行|息子(むすこ) 日本一の    外(そと)へも出すじまん あほふの鑑(かゝみ)  顔(がほ)でへたつてゐる人 嘸(さぞ)本望(ほんもう)で  こざらふ   材木屋 かういふ事が  年より子共を  いやさに   在所(ざいしよ)へ預(あつけ)た人 絵面(えめん)にくはしく  遠方(えんはう)へ手紙ニ    書付(かきつけ)たり    封(ふう)じ込(こむ)はんかう 移(うつ)りかはるは  ぢしんも納(おさま)り   よのならひ  春(はる)のしこみ