翻刻
同しからす其髪は黄色を帯ぶ其婦女は髪を背後
に垂れて腰に及ふこと他の満刺加(マロカ)の婦女と同し行歩
する時は其両足内の方にむかふ此種の人は多く此国のみ
ならず他の印度(インド)およひ亜弗利加(アフリカ)洲の内の処〻にもまたこ
れありといふ
亜弗利加の異物の説
亜弗利加の地に一種の異形なる生類を産す此物其かた
ち円にして稍亀に似たり背上に黄色なる十字の紋あ
り其十字紋の端末の処に至る毎に皆眼ありおよそ四眼
四耳其端にありてこれを以て四方を視聴する事をなす
しかれとも其口は多く一つにして其腹にありとのゆ
へに飲食する時はすなはち腹を地に着く其全身の周囲
円にあまたの足ありて行て復帰らんとするときは敢
て身を廻らすに及はすして後足よく前足の用をなし
前足これにしたかひて退く事をなす其尾は長くして
その端末に至て細毛叢生す土人の説にいはく此物の血は諸
金創傷損に用ひて甚奇効ありよく拔尓沙摩(バササモ)に代へ
用ゆべしといふ
「カスヨウ」樹の説
南|亜墨利加(アメリカ)洲|伯西児(ブラシソア)国に一種の奇樹を生す名け
て「カスヨウ」といふ其葉幅広くして黯緑色なり一樹の
上に赤白二種の小花を開きまた尋て二種の菓をむす