翻刻!草双紙の世界

コレクション: NDL鳥居清長

間似合嘘言曽我 3巻 - 翻刻

間似合嘘言曽我 3巻 - ページ 7

ページ: 7

翻刻

花川は時宗に しぬほとほれ たれ共二丁めの せう〳〵とな じみのわけも しつてゐれば かいはなしに あわんとさつし やわたをせう人【世話人の誤りヵ】 にくるやうにし てもらはんとた のみけれはやわた も五丁まちてし られたかほなれは いさゐをうけこん て時宗をまい つるがさしきへ よんでたのむ 「是 時さんかんしんの時のおしやま を入るのは外の事でもねへがあ の花川さんか大のぼせてせひ 此すへによこしてくれろとのたつ てのたのみは□二丁めのせ印【?】 か事はわたしがせうちたからどふぞ かいはなしにしてくんなさんないやでは あろうがわたしか顔を立てくんねへな とたのまれけれは今けんもんのは八わたいやとも いわれすていよくするあいさつする 「これは八わたさんのお仲人おそれ入ましたはな川さまの顔もつぶ□□□ □□【おまへヵ】のことばもほく【反故ヵ】にやアしやすめへいづれせうちきと□□ 【右頁下】 のみや せうげい しやをみん なおけは よかつた 【左頁】 花川は時宗 かねてゐる ひやうぶのそ とにてうがいを つかいそれより夜 ぎへよりかゝりせう 〳〵が事をしつた やうにしらぬやうに わたくしは今夜計の おなぐさみ 其うちへは はいつても おじやまた ろうのと いふゆへ時宗 もてのあるものにてしつ かりとこつよく【?】かいてみる コレはな川さんかわつた事 をいゝなさるの おめへの むねにやア二丁めの 事かあるゆへかへせう〳〵か事 をかくしやアしんせんなるほと 久しくゆきやすか人といふも のはそふしたものでもねへのさ 事と品によつたらあつちをきれ てどこそのうちへきめへもんでも ねへそりやアおめへの心に有 そふな事さ 今もはたさんに申いした 通り私かやうなもので も虎さんの所へ祐成 さんか外ならす きなんすし 主かきてさへ くんなんすな らとふとも しい す【?】 せう〳〵さんに きやくしんでも 有時はつきあいた と思つてきて おくんなん し

現代語訳

花川は時宗に死ぬほど惚れているけれども、二丁目の遊女との馴染みの事情も知っているので、仲裁の話し合いをしようと察して、八幡を世話人として来るようにしてもらおうと頼んだところ、八幡も五丁町で知られた顔なので、引き受けて時宗を舞鶴が座敷へ呼んで頼む。 「これ、時さん、感心の時のお邪魔を入れるのは他の事でもないが、あの花川さんが大変のぼせて、ぜひこの席によこしてくれろとの懇切な頼みは、二丁目の遊女の事は私が世話をしたからどうぞ仲裁話にしてくれませんかい。嫌でしょうが私の顔を立ててくれませんかな」 と頼まれれば、今見物の八幡を嫌とも言えず、丁寧にする挨拶をする。 「これは八幡さんのお仲人、恐れ入りました。花川さまの顔も潰すわけにはいかず、あなたの言葉も反故にはできませんでしょう。いずれ承知いたしましょう」 花川は時宗が承諾しているのを兵部の外で聞いていて、すぐに使いを出し、それから夜着に寄りかかり、遊女の事を知ったようで知らないように、「私は今夜だけのお慰み、その後は入っても お邪魔でしょうの」と言うので、時宗も手のあるものでしっかりと巧妙に返してみる。 「これは花川さんが変わった事をおっしゃるの。お前の胸には二丁目の事があるので、かえって遊女の事を隠そうとするのは親切だなるほど、久しく行き来のない人というものはそうしたものでもないのさ。事と品によったら、あちらを切ってどこかの家へ決めるものでもない。それはお前の心にありそうな事さ。今も八幡さんに申した通り、私のようなものでも虎さんの所へ祐成さんがいらっしゃるなら、あなたが来てさえくだされば、どうともしましょう。遊女さんに客心でもある時はお付き合いしたいと思って来てくだされ」

英語訳

Hanakawa was madly in love with Tokimune, but knowing about his relationship with a courtesan from the second district, she sensed an opportunity for mediation and asked Yahata to come as an intermediary. Since Yahata was a well-known figure in the fifth district, he agreed and called Tokimune to Maizuru's parlor to make the request. "Now, Toki-san, I hate to interrupt you at such an important moment, but that Hanakawa-san is completely infatuated and earnestly begs that you come to this gathering. Since I arranged the matter with the second district courtesan, please consider this a mediation. I know it may be unpleasant, but please do me this favor." Being asked this way, Tokimune, who was currently being entertained, could not refuse Yahata outright and responded politely: "Ah, Yahata-san acts as matchmaker - I am much obliged. I cannot disgrace Hanakawa-sama's reputation, nor can I ignore your words. I shall certainly agree to this." Hanakawa, who had been listening from outside the soldiers' quarters, immediately sent a messenger, then leaning against her night clothes, spoke as if she both knew and didn't know about the courtesan situation: "I am just tonight's entertainment - afterward, my presence would surely be bothersome." Tokimune, being a man of experience, responded skillfully and cleverly: "How strange for Hanakawa-san to say such things. Since you have feelings about the second district matter, your kindness in trying to hide the courtesan affair is indeed thoughtful. People who haven't seen each other for a long time aren't usually like that. Depending on circumstances and character, one might cut ties with one place and settle with another house - that seems to be in your heart. As I just told Yahata-san, even someone like me, if Yukinari-san comes to Tora-san's place, and if you would just come, I would accommodate anything. When you feel like being a patron to the courtesans, please come thinking you'd like to socialize."