東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 3

新板絵入伊勢物語 : かうしやく付 2巻 下 - 翻刻

新板絵入伊勢物語 : かうしやく付 2巻 下 - ページ 7

ページ: 7

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【右丁】 これをあはれがりて。人々かへりにけり (六十七) むかし。男。せうえうし((なくさみあそぶ也)に。思ふどちかいつらねて。いづみの国へ。きさらぎ((二月也) ばかりにいきけり。かうちの国いこま山を見れば。くもりみ((みは休字也)。はれみ。たち ゐるくもやまず。朝(あさ)よりくもりて。ひるはれたはれたり。雪いとしろう。木の すゑにふりたり。それを見て。かのゆく人の中にたゞひとりよみける   きのふけふ雲の立まひ かくろ((かくす也)ふは花のはやしを うしと((ねたむ心也)なりけり (六十八) むかし。男。いづみの国へいきけり。住よしのこほり。住吉の里。住吉 のはまを行に。いとおもしろければ。をりゐ(のり物より)つゝゆく。ある人住よしの はまとよめといふ   かりなきてきくの花さく秋はあれど 春のうみべ((きくの秋よりまさると也)にすみよしのはま とよめりければ。みな人々((此うたをかんして也)よまずなりにけり (六九)むかし。男有けり。其おとこいせの国にかりのつかひにいき けるに。かのいせの。さいくうなりける人のおや(染殿の后斎宮のけいほ也)。つねのつかひよりは。 【左丁】 此人(なりひら也)よくいたはれといひやれりければ。おやのことなりければ。いとねんころに いたはりけり。あしたには。かりに出し立てやり。夕ざりは帰りてそこに こさせ((ゐさせ也) けり。かくてねんごろに いたつ((いたはり也)きけり。二日と((下向してなり)いふ夜。男われて((わりなく也)あはんと いふ。女もはた((さいくうもなひきたる也)。いとあはじともおもへらず。されど人めしげゝれば。えあ はず。つかひざね((つかひのきりやう也)とある人なれば。とくもやどさず。女のねやもちか く有ければ。女。人をしづめて。ねひとつばかりに。男のもとに来りけり。 男はた。ねれざりければ。とのかた((外のかた也)を見出してふせるに。月のおぼ ろなるに。ちいさきわらはをさきに立て。人た((斎宮)てり。男いとうれしくて。 わがゐる所 にゐて((つれて也)入て。ねひと((子の初刻也)つより。うしみ(丑の三刻也)つまで有に。まだ何事((一夜の契りに師尚を給【「給」でよいか?】ふ) もかたらはぬにかへ(けなへりあはぬとかける筆勢の妙也)りにけり。男いとかなしくて。ねず成にけり。つ(あくる日也) とめて いぶかし(心もとなき也)けれど。我人をやる(はゝかりて也)べきにしあらねば。いと心もとなく てまちをれば。あけはなれてしばしあるに。女のもとよりことばなくて 《割書:古今》君やこし我や行けんおもほえずゆめかうつゝかねてかさめてか