翻刻
【右頁】
して笑て曰吾子か此挙あらむ事をあらかじめ
推知して萬国新語の遺稿より琉球の部を
抄出し一編の小冊となしおけりとて取出して
授け給ひぬ《割書:余| 》手の舞足の踏を知らず頓に
梓に鏤て世におほやけにす希は此書の為に
都下の紙あたひの貴からむことを実に
先生著述の書は《割書:余| か》家の揺銭樹なり
寛政二年九月 《割書:書林| 》申椒堂主人誌
【左頁】
森嶌中良先生著述書目
此書は.琉球の開闢(かいびやく)并に始て日本へ往来の
由来.彼国代々の伝記.年中行事.官職の
琉球談(りうきうはなし) 次第.人物.衣冠.宮室.器財.草木.鳥獣等の図
をあらはし.琉球狂言.小哥の文句.彼国の言語
既刷 全一冊 にいたるまて.悉く載て漏する事なし.
此書も琉球談のごとく.朝鮮国の事実
朝鮮談(ちやうせんはなし) を記し.朝鮮文字.并に言語等まて
近刷 全二冊 悉く載たり.
万国世界の内の.あらゆる奇談を載たり.
万国新話(はんこくしんわ) 訳編三部あり.追て刷す.
欧羅巴之部 亜弗利加之部
初遍五冊出来 亜墨利加之部
紅毛にて製作したる.珍器(ちんき)の類.先生の工夫
紅毛(おらんだ)智恵(ちゑの)洋(うみ) を以て.日本にて製作せられしに品〳〵を
全二冊 図式にす.誠に古今の銘書なり.