翻刻
【上段】
《割書:以呂|波引》月耕漫画 《割書:巻之|四》 《割書:定価金三十八銭|郵税金四銭》
本書は有名の画伯尾形月耕子が経営惨憺の末
満腔の意匠を絞り出したる以呂波引の漫画に
して宇宙に於ける森羅万象を捉え来つて躍々
紙面に昂る運筆自在の妙月耕子の得意として
更に一地歩を占む木版半紙摺美本彫刻印刷と
もに注意を加へたれは努めて画伯の筆意を失
墜せず其一、二、三篇は已に発売して好評世上
に喧びすし尚ほ本篇はヲよりクに至るの部に
して画伯が尤も鋭意全力を罩めて揮毫せられ
たれば筆々飛動せむとするの勢他に其比類を
見ず嗚呼世上絵画に志あるの士乞ふ一本を贖
ひて朝夕座右に繙かば得る所決して少なしと
せず
神田区通新石町三番地
発行所 《割書:電話|九七〇》東陽堂支店
【下段】
《割書:王右|軍》館本十七帖 《割書:全一|冊》《割書:定価金三十五銭|郵税金二銭》
王右軍の館本十七帖は三緘堂の旧蔵に係る鐫榻極精点画捺揮毫
も遺憾なし加るにg巌谷修先生の親切なる釈文をも添えたれば墨
池中の至宝と謂ふへし
《箱:顔真卿放生池帖》 《割書:全二|冊》《割書:定価金六十五銭|郵税金六銭》
東坡曰書は顔魯公に極まると正学曰正にして拘らす荘にして険
ならす法度の中に従容し閑雅自得の趣ありと真卿の書は此二評
を見て知るべし殊に其放生池帖の如きは尤も秀抜なるものにし
て鋒頴の雄健優に神に通す書家の秘蔵すべき良書帖なり
《箱:褚遂良猛法師碑》《割書:全一|冊》《割書:定価金三十銭|郵税金二銭》
瑶台青璅々春林嬋娟たる美女羅綺に勝へすとは昔賢褚遂良の書
を評したるの語なり此碑は貞観十六年に書せるものにして仏龕
聖教の間に在り遂良の此帖を以て第一の標的と為して可なり
菅原白龍書
《箱:草書千字文 》《割書:全一|冊》《割書:定価金三拾銭|郵税金四銭》
世白龍山人の画に巧なるを知て其書に妙なるを知らす山人は極
めて草書に巧にして運筆縦横潑墨の妙龍天門に跳り虎鳳闕に臥
すの慨あり此帖を繙かは是れ必す山人の真価を知らむ
神田区通新石町三番地
発行所 東陽堂支店
書
を評したるの語なり此碑は貞観十六年に書せるものにして仏龕