翻刻
にも怪(あや)しきことにて、即(すなは)ち越(ゑち)
後(ご)の七不思議(なゝふしぎ)の一(いつ)なり、支(し)
那(な)にもかゝる所(ところ)ありて、こ
れを火井(くはせゐ)といふ、これは炭(たん)
水気(すゐき)といふものゝ、地中(ちちう)よ
り出(いづ)るが故(ゆゑ)なるべし、抑炭(そも〳〵たん)
水気(すゐき)といふは天地(てんち)の間(あいだ)に
自然(しぜん)にそなはりたる、六十
八|色(いろ)の一(ひと)つなる炭素(たんそ)とい
ふものと水素(すゐそ)とて、これも六十八|色(いろ)の一(ひと)つと相(さう)
合(がふ)したるものにて、火(ひ)に遇(あ)へばよく燃(もゆ)るもの也
今(いま)瓦斯燈(がすとう)とて繁花(はんくは)の地(ち)にて石炭(せきたん)を蒸焼(むしやき)にして
其気(そのき)を取(と)り、これを家々(いへ〳〵)に引(ひき)て燈火(ともしび)となす、この
石炭(せきたん)の気(き)は則(すなは)ち炭水気(たんすゐき)なり、しかればこの火井(くはせゐ)
といふものは、天然(てんねん)の瓦斯燈(がすとう)ともいふべきなり
変異辨 一名天変地異拾遺 畢