翻刻
空中(くうちう)に人(ひと)の顕(あらわ)るゝ事
空中に船(ふね)の顕るゝ事
蜃気楼(しんきらう)並(ならび)に海市(かいし)の事
逃水(にげみず)ならびに箒木(はゝきゞ)の事
傾(かたぶ)きたる日(ひ)再(ふたゝ)び上(のぼ)る事
灰(はい)の雨(あめ)ならびに砂(すな)の雨の事
火井(くはせゐ)の事
目録終(もくろくをはり)
変異辨(へんゐべん) 一名 天変地異拾遺(てんべんちゐしうゐ)
和歌山県 鳥山 啓纂緝
龍巻(たつまき)の事(こと)
世(よ)に龍巻(たつまき)といふものあり、其顕(そのあらわ)るゝや初(はじめ)はたゞ
わずかなる雲(くも)の起(おこ)るとみるが中(うち)に忽(たちま)ち広(ひろ)がり
て、其雲錐(そのくもきり)の形状(かたち)をなして海上(かいしやう)に廻下(まひくだ)り、海(うみ)の水
も忽(たちま)ちに同(おな)し形(かたち)をなして逆(さかさま)に立昇(たちのぼ)り、相連(あひつらな)りて
柱(はしら)の如(ごと)く、しばらくありて雲(くも)は空(そら)に昇(のぼ)り、散(さん)
じて大雨(おほあめ)となり、大風(おほかぜ)もまた随(したが)ひて起(おこ)る、或(あるひ)は雹(あられ)