翻刻
夫(それ)乾坤(あめつち)の開(ひら)けてより
地を動(うご)かす挙(あげ)て数(かぞ)へがたし
ト年代記で見たばかり
何(なん)にも知(し)らぬ夢助(ゆめすけ)も
今度はほんに目が
さめて見廻す
四方(しはう)は火災(くわさい)の中(なか)
命(いのち)あやふく
たすかりて
またかへり見る
世(よ)の中(なか)は
大きな焼(やけ)より公(おほやけ)の
御手当(おてあて)あつき御国恩(ごこくおん)
うすき袋(ふく)を持丸(もちまる)長者(ちやうじや)米(よね)の
俵(たはら)のかず〳〵は施行(せきやう)の高(たか)の
八千|余(よ)町|豊(ゆたか)に見ゆる
張出(はりだ)しも黄金(こかね)の花を
さかする如く実に
ありかたき御代や
見よ〳〵
大黒(だいこく)の
つち
動(うご)かして
市中(いちなか)に
宝(たから)の
山を積(つみ)ぞ
めでたき
紀の長丸
「モウ
うごかぬから
しなして
くだせへ
ヤレ
万ざい
らく
〳〵
「これは〳〵
大そうまくぜ
こういふあんばい
ならことし
一ぱいでも
がまんが
できます
「ぢしんも
よつぼと
いゝものだ
よの中の
うるほひに
なるくふ
うか
しら
「もつと
ふれ〳〵
「こちら
へもたん
ト〳〵
「これは
ひろう
にも
ほねが
おれ
ます