翻刻
江戸御 城(しろ)の見附数三十六ケ所あり 一登斎
此度の地震にて何れも破損(はそん)せざる所なし 芳綱写
就中(なかんずく)四ツ谷御門の櫓(やぐら)之屋根より石垣に
至迄凡 図(づ)にあらはしたるごとし且又
堅固(けんご)なるを城門にたとへていへり然に此
ごとくなる事を以 震動(しんどう)の強(つよき)を知べし
既(すて)に大手東方 馬場前(ばゝさき)御門等は悉潰(こと〳〵くつぶれ)
其 形(かたち)なき故 図(づ)せず所々大破に及事
筆もて尽(つくし)がたし往古(むかし)より地震 数多(あまた)
有と雖(いへとも)今度のごとく成事をきかず凡
御入国 已来(このかたに)無之 珍事(ちんじ)なりと聞及たり