翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

化物一家髭女 2巻 - 翻刻

化物一家髭女 2巻 - ページ 4

ページ: 4

翻刻

【右ページ、墨で手書き】 明和七庚寅年印本 富川房信画【冨川房信】 【左ページ】 こゝによこ 川郷介 といふさむら いかめさ きごんのしん かむすめ【亀崎権之進が女】 おまんにこゝろをかけたひ〳〵ふみにてくとき けれともへんじさへせす小づとも三郎【小津友三郎】が かたへよめいりせしゆへ【手の下へ続く】むねんやるかたなくあるよ しのひいり【忍び入り】おまんが ねくひをかき【寝首をかき】ひ そかににけいて ける にくしと おもふこい のあたはら してのけ    たら さつはりと したそ 【下へ】 やつこへく内【奴・可内(べくない)】 おたんなしゆ【お旦那衆】 ひはな【?】 と【く?こ?】めつた たいに【めったいに?】 ほへた【吠えた?】 ゆへ あごを ひきさき ましたもふ こ□□…【こつち?】 の□…【のものしや/もうこっちのものじゃ?】 □… 【43行目以降、ほとんどかすれている。可内の足下で番犬らしきものが顎から血を出している挿し絵がある】   【ページ上】 べく ない 此よう すみた ものは ないか ぬかるな

現代語訳

【右ページ、墨で手書き】 明和七庚寅年印本 富川房信画 【左ページ】 ここに横川郷介という侍が、亀崎権之進の娘おまんに心を掛け、度々手紙で口説いたけれども返事さえしないので、小津友三郎のもとへ嫁入りしてしまった。そのため無念やるかたなく、ある夜忍び入っておまんの寝首をかき、ひそかに逃げて行った。 憎いと思う恋の相手を殺してしまったのでさっぱりした様子。 【下へ】 奴・可内(べくない) 「お旦那様、番犬がとても激しく吠えたので、顎を引き裂きました。もうこちらのものです。」 【ページ上】 可内「このような邪魔なものはありませんからね。気を抜かないでください。」

英語訳

【Right page, handwritten in ink】 Printed edition from Meiwa 7, year of the metal tiger (1770) Illustrated by Tomikawa Fusanobu 【Left page】 Here there was a samurai named Yokogawa Kyōsuke who was infatuated with Oman, the daughter of Kamezaki Gonnoshin. He repeatedly tried to seduce her through letters, but she would not even reply. When she married into the Kozu Tomosaburō family, he was filled with such resentment that one night he snuck into her home, slit her throat while she slept, and secretly fled. Having killed the object of his hateful love, he appeared quite relieved. 【Lower section】 The servant Bekunai "Master, the guard dog was barking very fiercely, so I tore open its jaw. It's ours now." 【Top of page】 Bekunai: "There's nothing more troublesome than such interference. Please don't let your guard down."