翻刻
【右頁】
紅梅(こうばい)
盛(さかり)
の
体(てい)
【左頁】
疱瘡(ほうさう)はじめ終(おわり)の日数(ひかず)心得(こゝろへ)の事
熱蒸(ねつしやう)とて三日/有(あり)俗(ぞく)にほとおりといひ又(また)は序病(じよやみ)といふ
見点(けんてん)とて三日あり俗(ぞく)に出(で)そろひといふ
潅漿(きちやう)とて三日有/俗(ぞく)に水(みづ)もりといふ
貫膿(くわんのう)とて三日有俗に山(やま)あげといふ
收厭(しゆゑん)とて三日有俗にかせといふ
かくのごとく三日づゝにて十五日をへて後(のち)瘡(かさ)のふた落(おち)
て愈(いゆ)るを順症(じゆんせう)といふ出(で)そろひより風(かぜ)にあてべからず痘(いも)
かろく見へても外(ほか)へ出(いだす)べからず水(みづ)もりは前後(ぜんご)大事(だいじ)なり
かきやぶる事(こと)を気(き)を付(つく)べしやまあげかせはじめなり
現代語訳
【右頁】
紅梅盛りの体
【左頁】
疱瘡の始まりから終わりまでの日数心得について
熱蒸といって三日間ある。俗に「ほとおり」といい、また「序病」という。
見点といって三日間ある。俗に「出そろい」という。
灌漿といって三日間ある。俗に「水盛り」という。
貫膿といって三日間ある。俗に「山上げ」という。
収厭といって三日間ある。俗に「かせ」という。
このように三日ずつで十五日を経て後、瘡のふたが落ちて治るのを順症という。出そろいより風に当ててはならない。痘瘡が軽く見えても外へ出してはならない。水盛りは前後が大事である。かきやぶることに気をつけるべきである。山上げ・かせが始まりである。