翻刻
〽アヽラめでたいな〳〵大名づくしではらひませうすぎし二日の
御祝義(おしうぎ)にまちやしきも酒井(さかい)なくくづれかゝりし森川(もりかは)や焼てくづれて
身ひとつのからだは手ぶり小笠原(おがさはら)いへも古蔵(こざう)も内藤(ないとう)や
妻(つま)子にはなれ遠藤(ゑんどう)の土屋かはらのなかよりも堀田(ほつた)を
みればぬらくらとこれが鯰(なまづ)にいられうかたま〳〵 建部(たてべ)で
井上(いのうへ)のいへに有人が稲葉(いなば)さまかほは青(あを)山あつがんの
榊原(さかきばら)にてやう〳〵と丸太を甲斐(かひ)さま戸田(とだ)さまに
かこひの板倉(いたくら)ぶつつけてすこしこゝろは安藤(あんどう)の鍋嶋(なべしま)
ならで鹿嶋(かしま)なる神のおたちは出雲(いづも)さまやがて帰国(きこく)の
御 参府(さんふ)で世の中しづかにのりこみはさつても目出
たき行列(きやうれつ)をなまづやろうがゆりこんで供(とも)さきやらん
とするならば石でおさへがとんで出どうづきもどきでづしり〳〵
〽アヽラねむたいな〳〵今ばんこよひのぐらつきに身の用心
とまはりませう一夜(いちや)あくればはるならで十月二日さんが日
お門にたてたる松丸太竹のはしらや生死(いきしに)のせうじを
かべのとびずまゐ鯰くはづによう〳〵とにげて野 宿(じゆく)を
するがなる富士より高い土(つち)のやま命(いのち)あつての物だね
もはなしのたねとなるかみや親仁(おやじ)と火事とぐらつきは
もふこり〳〵と信濃(しなの)なる善光寺(ぜんくわうじ)にはあらねども
うへから落たうつばりの牛に引るゝ身のつらさはやく
鹿嶋へお飛脚(ひきやく)をたのむは留すのゑびすどのかへす〴〵もゆり
かへし誓(ちかひ)はかたき要石おゝさへ〳〵悦(よろこ)びのおさまる御代はこんれいの
四海なみ風しづ〳〵といろ直しから大じしんひるもたんすのくはんが
なる所へぬらつく外道(げどう)めは焼(やけ)はら峠(とふげ)の絶頂(ぜつてう)から津(つ)浪が沖(おき)へさらり〳〵