翻刻
を見ず、仮令(たとへ)之あるも甚(はなは)だ微(び)なり、地中海(ちちうかい)バチク
海(かい)【地中海バチク海の左に傍線】みな然(しか)り、しかるに紅海(こうかい)ペルシヤ湾(わん)【紅海ベルシヤ湾の左に傍線】は、其|海門(かいもん)
甚(はなは)だ狭(せば)しといへども、潮水(しほ)|長落(ちようらく)あるを見る、これ
この二海(じかい)は、その海門(かいもん)の方向(はうこう)、大洋(だいやう)|潮流(てうりう)の道(みち)に対(たい)
すればなり、
第十一章
|洋流(やうりう)、
|洋水(やうすい)の|奔流(ほんりう)するや、|各国(かつこく)|人民(じんみん)の|通信(つうしん)に|便利(べんり)を|与(あた)
へ、|陸地(りくち)の|長消(ちようしやう)を|為(な)し、|沿海(えんかい)の|地(ち)の|気候(きこう)|寒暖(かんだん)に|関(くわん)
|係(けい)す、其|流動(りうとう)の|状(かたち)|次(つき)の如し、|抑(そも〳〵)|洋水(やうすい)|諸流(しよりう)の|幅(はゞ)、|各(おの〳〵)|同(おな)
じからず、其|方向(はうこう)もまた|異(こと)にして、その|奔流(ほんりう)する
や、みな|河流(かりう)の如くにして、|他(た)の|洋水(やうすい)の|不動(ふどう)なる
ものへ、|流(ながれ)の|両辺(りやうへん)に|重畳(ちよう〴〵)して、また|河水(かすい)の|両岸(りやうがん)に
|似(に)たり、
|洋流(やうりう)の|原由(げんゆ)、
|洋水(やうすい)の|奔流(ほんりう)に、|較著(かくちよ)なる|原由(げんゆ)|三事(さんじ)あり、|洋面(やうめん)|寒暖(かんだん)
の|等(ひと)しからざる|事(こと)、|地球(ちきう)|毎日(まいにち)の|運動(うんどう)、|及(およ)び|大洲(だいしう)の
|位置(ゐち)是なり、〇|凡(およ)そ|冷(ひやゝ)かなる|水(みづ)は、|暖(あたゝ)かなる|水(みづ)よ
天然地理学 巻之二 二十一