翻刻
|空気(くうき)の|尽(つく)る|処(ところ)に|至(いた)るまでの|重量(ちようりやう)は、大|約(やく)十五ホ
ンドにして、同じく一寸四方|高(たか)さ三十寸の|水銀(すいぎん)
と|同(おな)じ|重量(ちようりやう)なり、しかれば|空気(くうき)の|圧力(あつりよく)|減少(げんしやう)する
事あれば、|水銀(すいぎん)は三十寸に|及(およ)ばずして之を|相(あい)|平(へい)
|衡(かう)すべし、|此(この)|理(り)に|基(もとづ)きて|風雨鍼(ふうゝしん)を|発明(はつめい)せり、〇ホ
ムボルドト【ホ ムボルドトの右に傍線】といふ人、チムボラゾ|山(さん)【チムボラゾ山の左に傍線】|近傍(きんはう)の|海面(かいめん)
に於て、|風雨鍼(ふうゝしん)の|水銀(すいぎん)|正(たゞ)しく三十寸の|処(ところ)にある
を見て、しかる時に|山上(さんじやう)一万九千三百三十二尺
の|高(たか)さに|登(のぼ)りしに、|風雨鍼(ふうゝしん)の|水銀(すいぎん)十四寸より|少(すこ)
しく|高(たか)き|処(ところ)にあるを見たりといふ、〇|何(なん)の|地(ち)を
|論(ろん)せず、|海面(かいめん)より|同高(とうこう)の|処(ところ)に在ては、|風雨鍼(ふううしん)の|水(すい)
銀また同度にあるを見るべし、|但(たゝ)し|温度(おんと)の|差異(さゐ)、
また水銀の昇降に|関(くわん)すといへども、甚だ|絻(わづか)なる
を以て|姑(しばら)く|論(ろん)ぜず、|故(ゆゑ)に此|器械(きかい)を用ひて、山の高
|度(ど)を|測(はか)り得べし、|風雨鍼(ふうゝしん)の|水銀(すいぎん)は|海面(かいめん)より、九百
五十|尺(しやく)の|高(たか)さにて、大|約(やく)一寸|降(くだ)る事を|定例(ぢやうれい)とす
〇また|空気(くうき)の|軽重(けいちよう)と|圧力(あつりよく)とに|由(よつ)て、|高度(たかさ)を|測(はか)る
べき|他法(たはう)あり、|即(すなは)ち水の|沸騰(ふつとう)する|度(ど)を|測(はか)つて知
天然地理学 巻之二 二十八