翻刻
あわて此夜をすごすとは哥占(うたうら)あしやよし此若
ならはと将之助か膝(ひざ)によりかゝり我かおもひつゝみ
かねてそほに出る花橘(はなたちばな)の香(か)にめでゝと顔ををおゝふ
て寄そへば将之助はうつゝになり義理(ぎり)の心はどこへ
やらぐつと引よせ抱(だき)付は女はおもひの■(くし)はれて
今さら何とはづかしく膝にうちふし口なしの
はなれかたなき風情(ふぜい)也其時女を横にいたき
内股へ手を遣りみるにすべ〳〵ときめこまかに
て白羽二重(しろはぶたへ)にことならずもはやたまらすぐつと
手をさし入るれは待(まち)まふけ【設け】し事なれはそこら
あたりはぬら〳〵と熱気(ねつき)さかんの名玉門せかぬ