翻刻
【右丁】
《送り仮名:かへし》うぐひすの花をぬふてふかさはいな思ひを付よほしてかへさん
「百廿二」むかしをとこ。ちぎれる事あやまれる人に
《送り仮名:新古今》山しろのいでの玉水手にむすびたのみしかひもなき世なりけり
と。いひやれどいらへもせず
「百廿三」むかし男有けり。ふかくさにすみける女をやう〳〵あきがたに
やをもひけん。かゝるうたをと見けり
《送り仮名:古今》としをへてすみこしさとを出ていなばいとゞふかくさ野とや成なん
《送り仮名:同》野とならばうづらと成て鳴(なき)をらんかりにだににやは君はこざらん
と。よめりけるにめでゝ。ゆかんと思ふ心なく成にけり
「百廿四」むかし男。いかなりけることを思ひけるをりにかよめる
おもふ事いわでぞたゞにやみぬべきわれとひとしき人しなければ
「百廿五」むかしをとこ。わづらひてこゝちしぬべくをぼへければ
つゐに行道(ゆくみち)とはかねてきゝしかどきのふけふとは思はざりけり
「左丁」
近(きん)-代(だい)以(もつて)_二狩(かりの)-使(つかいの)事(ことを)_一為(する)_レ端(はしと)之(の)本(ほん)出(いて)-来(きたり)末代(まただい)之(の)人(ひと)分(え)
案(あん)也(なり)更(さらに)不(す)_レ可(へから)_レ用(もちゆ)_レ之(これを)此(この)物語(ものかたり)古(こ)-人(しん)之(の)説(せつ)〳〵(〳〵)不(ず)_レ同(をなしから)或(あるひは)
云(いひ)_二在中将(さいちうじやう)之(の)自書(じしよと)_一或(あるひは)称(しやうし)_二伊勢(いせが)筆作(ひつさくと)_一早(おかんぬ)被(かれ)此(これ)
有(あり)_一書(かき)落(をとす)亊(こと)等(たう)_一 上古(しやうこ)之(の)人(ひと)強(あなかち)不(す)可(べから)_レ尋(たづね)_二其(その)作者(さくしやを)只(たゝ)
可(べき)_レ競(もてあそふ)_二詞花(しくわ)言葉(げんようを)而(の)巳(み)
戸部(こほう)尚書(しやうしよ) 在判
宝永貮年 【赤角印】
孟春吉祥日
御幸町通二条上ル二町目
礒田太良兵衛 【落款】
【上段挿絵】
牽(けん)牛(きう)
七
夕
【中段和歌】
凡河内躬恒(おふしかうちのみつね)
年ごとにあふとは
すれど七夕の
ぬる夜のかずぞ
すくるかりける
能因法師(のうゐんほうし)
秋の夜を あり
ながき ける
物とは
影(かげ) ほしあひの
見ぬ人のいふにぞ
【下段和歌】
氏呂為藤(うんぶきろうためふち)
天の川その
みなかみは
あふ きはむとも
せははても
をもふとそあらし
中務卿親王(なかつかさきやうしんわう)
たなばたの恋や
つもりて天(あま)の川
まれなる中の
ふちと成らん