翻刻
【右丁】
晩秋述懐(ばんしゆうのしゆつくわい) 姫大伴氏(ひめおほともうぢ)
節候(せつかう)蕭条(しゆうじやうとして)歳(とし)《振り仮名:将_レ闌|たけなはならんとす》。閨門(けいもん)静閑(しづかにして)秋日(しゆうじつ)寒(さむし)。雲天(うんてん)遠鳫(えんがん)声(こゑ)宜(きく)
聴(べし)。檐樹(たんじゆ)晩蝉(ばんせん)引(ひき)《振り仮名:欲_レ殫|つきんことほす》。菊潭(きくたん)《振り仮名:帯_レ露|つゆをおびて》余花(よくわ)冷(ひやゝかなり)。荷浦(かほ)《振り仮名:含_レ霜|しもをふくみて》旧(きう)
盞(さん)残(のこり)。寂寞(せきばく)独(ひとり)《振り仮名:傷_二 四運促_一|しうんのうながすをいたむ》。紛紛(ぷん〳〵たる)落葉(らくえふ)《振り仮名:不_レ勝_レ看|みるにたへず》。
《振り仮名:奉_レ和_二関山月_一|くわんざんげつをわしたてまつる》 有智子内親王(いうちしないしんわう)
皎潔(かうけつ)関山月(くわんさんげつ)。流光(りうかう)万里(ばんりに)明(あきらかなり)。《振り仮名:懸_レ珠|たまをかけて》露葉(ろえふ)浄(きよく)。《振り仮名:臨_レ扇|あふきにのぞんて》霜華(さうくわ)清(きよし)。
寒鳫(かんがん)晴空(せいくうに)断(たへ)。孤猿(こけん)【注】暁峡(けうかふに)鳴(なく)。那(なんぞ)堪(たへん)空閣妾(くうかくのせふ)。《振り仮名:未_レ慰_二相思情_一|さうしのじやうをなくさめす》。
《振り仮名:奉_レ和_二除夜_一|じよやをわしたてまつる》 惟氏(これうぢ)
《振り仮名:自_三従習_レ静出_二風塵_一|しつかなるにならひてけふうじんいでしより》。北斗(ほくと)柄(へい)廻(めくりて)歳月(さいげつ)巡(めぐる)。俗事(ぞくじ)自(よづから)【ママ】《振り仮名:随_二深夜_一|しんやにしたかつて》
尽(つき)。幽心(いうしん)独(ひとり)《振り仮名:対_二 上陽_一|しやうやうにたいして》新(あらたなり)。渓流(けいりう)《振り仮名:向_レ暖迎_二佳気_一|だんにむかふてかきをむかへ》。山燭(さんしよく)閑(しづかに)燃(もへて)避(せ)_二
世人(じんをさく)_一。泉石(せんせき)《振り仮名:不_レ知_レ催_二白髪_一|はくはつをもよほすことしらず》。悠然(いうぜん)徒(いたづらに)《振り仮名:任_二去来春_一|きよらいのはるにまかす》。
【注 「こえん」とあるところ。】
【左丁】
禅居(ぜんきよ) 尼和氏(あまわし)