翻刻!いきもの図鑑

コレクション: 本草図譜(くずし字)

本草図譜. 巻40-42 - 翻刻

本草図譜. 巻40-42 - ページ 9

ページ: 9

翻刻

【右丁】 一説 リヌム《割書:羅|甸》     フラス《割書:荷|蘭》  物印忙(うへいんまん)に載(のす)る所の物なり  実(み)の形(かたち)亜麻(あま)《割書:こま|にん》に似(に)たり 一種  物印忙(うへいんまん)にフラスの実(み)  の図(つ)と同(おなし)く載(のす)る所(ところ)の  物(もの)葉(は)は地膚(ちふ)《割書:はゝ|きゝ》に似(にて)            ●○ ●○細小(さいせう)花(はな)の大さ一寸 許(はか)り五   弁(へら)にして淡紫色(うすむらさきいろ)なり 【左丁】 一種 まつばにんじん まつばなてしこ  原野(けんや)に生(せう)す武州(ふしう)練馬辺(ねりまへん)に多(おほ)し嫩(わか)  苗(め)は松(まつ)の初生(はへたち)に似(に)たり稍(やゝ)長(てう)するに  至(いたつ)て地膚(ちふ)《割書:はゝ|きゝ》或は鹹蓬(けんほう)《割書:まつ|ま【なヵ】》に似(に)たり  枝(ゑん[たヵ])を抽(ぬきんし)て五弁(いつへら)に淡紫花(うすむらさきのはな)を開(ひら)く物(うへ)  印忙(いんまん)に載(のす)の【るヵ】所(ところ)ろ【のヵ】フラスに似(に)て花(はな)小(せう)也 【版心の中央】 まつはにんしん 【十二、十四行目の○は左が尖った楕円形のような記号】 【二十二、二十四行目の注記は国立公文書館デジタルアーカイブのデータで確認(『本草図譜巻之39・40』コマ34 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676181)。二十四行目の「ろ」は「る」にも見え、上の「の」と逆になったヵ。】

現代語訳

【右丁】 一説 リヌム(ラテン語)     フラス(オランダ語)  『物印忙』に記載されている植物である  実の形は亜麻(胡麻人参)に似ている 一種  『物印忙』にフラスの実の  図と同じく記載されている  植物で、葉は地膚(ほうきぎ)に似ている    細小で花の大きさは一寸ほど、五  弁で淡紫色である 【左丁】 一種 まつばにんじん まつばなでしこ  原野に生育する。武州練馬辺りに多い。若い  苗は松の新芽に似ている。やや成長すると  地膚(ほうきぎ)あるいは鹹蓬(まつな)に似てくる。  枝を伸ばして五弁の淡紫色の花を開く。『物  印忙』に記載されているフラスに似ているが花は小さい。 【版心の中央】 まつばにんじん

英語訳

【Right page】 One theory: Linum (Latin)       Flas (Dutch) This is a plant recorded in the "Butsuinman" The shape of its fruit resembles that of flax (sesame carrot) One variety A plant recorded in "Butsuinman" with the same illustration as the fruit of Flas, whose leaves resemble those of kochia (summer cypress) Small and delicate, the flower is about one inch in size, with five petals and pale purple in color 【Left page】 One variety: matsuba-ninjin (pine needle carrot), matsuba-nadeshiko (pine needle pink) It grows in meadows and fields. It is abundant around Nerima in Musashi Province. Young seedlings resemble pine shoots. As they grow somewhat larger, they come to resemble kochia (summer cypress) or saltbush. It extends branches and opens five-petaled pale purple flowers. It resembles the Flas recorded in "Butsuinman" but has smaller flowers. 【Center of page margin】 matsuba-ninjin