翻刻
【右丁】
鬱金香(うつこんかう) チユリパ《割書:荷|蘭》
常正云 荷蘭(をらんた)ウヱイン
マンの図(づ)なり花(はな)の色(いろ)品(ひん)
類(るい)甚(はなは)た多(おほ)し其中(そのうち)一二 品(ひん)
をこゝに写(うつ)す時珍(しちん)の記(せつ)#1
に唐書(とうしよ)云 大宗時(たいさうのとき)伽(きや)
昆国(ひこく)献鬱金香(うつこんかうをけんす)葉(は)
似麦門冬(はくもんとうににて)九月 花(はな)開(ひらく)∴
∴
状(かたち)《振り仮名:似_二芙蓉_一|ふやうににて》其色(そのいろ)紫(し)
碧(へき)香(かう)《振り仮名:聞_二数十歩_一|すしつほにきこゆ》有(はなありて)
【左丁】
《振り仮名:_レ花而|ありて》#2不実(みのらす)と云 是(これ)なり
又 魏略(きりやく)#3云《振り仮名:生_二大秦国_一|たいしんこくにせうす》
二月三月 有花(はなあり)状(かたち)《振り仮名:如_二紅|こうらんの》
藍(ことく)#4四月五月 採花(はなをとる)即(すなはち)
香(かんはし)
宇田川 榕(よう)按(あん)するに「テュリパ」は和蘭(をらんた)仏蘭西(ふらんす)等(とう)の花(くは)
園(ゑん)に養(やしな)ふ「テュリパ」は羅甸(らていん)の名なり和蘭(をらんた)にて「テュルプ」
と呼(よ)ふ茎(くき)円(まる)く中(なか)に軟(やわらか)き髄(すい)#5あり高(たか)さ尺 許(はかり)根(ね)より二三 葉(やう)
生(せう)す葉(は)闊(ひろ)く厚(あつ)■#6辺(ほとり)に波紋(うねり)あり先(さき)尖(とか)る茎(くき)の頭(かしら)に六(む)
弁(へら)の大(おほい)なる花(はな)を放(はな)し花(はな)の形(かたち)一様(いちやう)ならす色(いろ)も亦(また)紅(あか)
紫(むらさき)黄(き)白(しろ)其他(そのた)雑色(さつしよく)あり香(かんはし)く花後(はなこ)三稜(みとかり)の実(み)を
結(むす)ふ内(うち)に三室(さんしつ)あり室中(しつちう)に種子(たねみ)充つ#7種子(たね)は赤(あかく)して
円(まる)く扁(ひらた)し根(ね)は球(きう)にて色(いろ)黄(き)或(あるい)は黒(くろ)し
【版心の中央】鬱金香