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コレクション: STAGE4

享保十三年江戸洪水記 - 翻刻

享保十三年江戸洪水記 - ページ 4

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翻刻

 南向の家抔は強く降込北の方は戸障子窓なと  暫も明置れさる位也世上の土蔵の壁又は家々  のしたみなき壁は微塵に成たる也昼前ゟ雨弥つ  よくさなから洪水の如し然処に小日向目白下関口  水道町古河町改代町の方ゟ大水いつくともなく  急に押来り雨は止み水は段々押来る小日向筋  の武家町方寺社民家貴賤老若僧俗男女共に  初は表を流るゝ水を見物して居たるに水急に押  込畳の上へ段々押上候まに家ことに樽なとをならへ  其上へ戸畳なとを積み其上へ登りけれ共猶其上へ  水上り候故棚の上或は天井を破り上り候へ共夫へも  水押上候まに梁又は屋根を下ゟ刀脇指を以て切  破り皆屋根の棟へ上り命を限りに数万の人々  是は如何なる時節の来りて只今水におほれ死なん  こそ是非なけれと何も最期の思ひをなし念仏  を唱るも有又泣かなしむ声は大叫喚もかくやと  思ひしれていたはしかりし有さまとかや数万の男女  泣さけふ声北風に響き加賀屋敷本村迄聞たり