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コレクション: STAGE5

凶荒図録 完 - 翻刻

凶荒図録 完 - ページ 8

ページ: 8

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天保(てんほ)四 癸巳年初夏(みづのとみのとしのなつ)霖雨(ながあめ)止(や)まず干時(ときに) 二宮金次郎先生(にのみやきんじらうせんせい)野州芳賀郡桜町(やしうはがごほりさくらまち)にありて 或日(あるひ)茄子(なすび)を食(しよく)するに其味(そのあじ)恰(あたかも)も秋季(あき)の茄子(なす)の. ごとし箸(はし)を投(すて)て歎(たん)じて曰(いは)く是(こ)れ陽発(やうき)の気薄(きうす)くして 陰気既(いんきすで)に盛(さか)んなり何(なに)を以(もつ)てか米穀熟(ごこくじゅく)するを得(え)ん豫(あらか)じめ非常(ひじやう)に 備(そな)へざれば百姓飢渇(ひゃくしやうきかつ)に及(およ)ばんとすと即(すなは)ち三邑(みむら)の民(たみ)に令(れい)して毎戸一反歩(まいこいつたんぶ)の 稗(ひえ)を蒔(ま)かしむ果(はた)して盛夏(どよう)と雖(いへ)ども降雨(あめ)多(おほ)く冷気行(れいきおこな)はれて終(つひ)に凶歳(きようさい)となり 関東奥羽飢民(くわんとうおううきみん)甚(はなはだ)だ多(おほ)し此時(このとき)に至(いた)り三邑(みむら)の民稗(たみひえ)を以(もつ)て食(しよく)の不足(ふそく)を補(おぎな)ひ一民(ひとり)も 飢渇(きかつ)の患(うれ)ひにかかりしものなし云云と富田高慶報徳記(とみたかうけいほうとくき)に出(いで)たり