翻刻
下屋しきの凉しひね
真乳山【待乳山?】夕越くれば菴崎【庵崎】の隅田川原にひとりかとも□【詠?】むとは。昔の
人はとんだ野暮(やぼ)だぞ。真崎にはには女/藝者(けいしや)の。かけて一トといふか有る。もつ□【と?】
是を伸(のハ)せバ吉原といふ色の世界(かい)。コレ手まへハ山の手て育(そだち)て。聖天さまへまだ
参らぬといふから連てハ来たが。マア此くらゐな物さと。しやれる。亭主にいきな
女房まだ十八九と見へて美(か?つ)しき物。此ヶろ【此ごろ?】呼(よん)てはじめて。夫婦連の下
やしき行。草履(さうり)とりをコレわりやァ。桟橋(さんばし)に待つて居る屋根舟行てナ。
色〻にモウふねハ入らねへから先へ帰(かへ)れといへ。夫からすぐに下屋しきへ行て今
来たとしらせろと。夫婦(ふうふ)ハ下女とも引つれ今戸へ鳴(な)り込(こ)めバ。屋/守(もり)の