翻刻
【蓮華寺の続き】
元亨(けんかう)三年 北条家(ほうてうけ)滅亡(めつはう)の後も……
白髭明神(しらひけみやうしん)社 隅田河堤(すみたかはつゝみ)の下(もと)にあり祭神(さいしん)は猿田彦命(さるたひこのみこと)なり祭礼(さいれい)は九月
十五日に執行(しつきやう)せり別当(へつたう)は真言宗(しんこんしう)にして西蔵院(さいさうゐん)と号(なつ)く相伝(あひつた)ふ天暦(てんりやく)
五年 辛亥(かのとゐ)慈恵大師(しゑたいし)関東下向(くはんとうけかう)の頃(ころ)霊示(れいし)によりて近江国(あふみのくに)志賀郡(しかのこほり)
打下(うちおろし)より此地(このち)に勧請(くはんじやう)し給ふとなり天正(てんしやう)九年に至(いた)り神領(しんりやう)を付(ふ)し給ふ
隅田河(すみたかは) 《割書:万葉集(まんえふしふ)角太(かくたい)に作(つく)り旧本伊勢物語(きうほんいせものかたり)墨田(すみた)に作(つく)る八雲御抄(やくもみせう)東鑑(あつまかゝみ)等(なと)に隅田(くうてん)とす澄月歌枕(ちようけつうたまくら)|夫木抄(ふほくせう)古今集(こきんしふ)井蛙抄(せいあせう)等(とう)に当国(たうこく)およひ下総(しもふさ)の国境(くにさかい)とす今は武蔵国に属(そく)せり或説(あるせつ)に》
《割書:むかしはすた河とおひけると又さらしなの日記にあすた河とそ|すみた河 諸国(しよこく)に同名多し其事は次にいたせり》 源(みなもと)は信州(しんしう)甲州(かうしう)及(およ)ひ上野(かみつけ)等(とう)の
国々(くに〳〵)の山谷(さんこく)より発(はつ)し武州(ふしう)秩父郡(ちゝふこほり)の……