翻刻
【右側】
あさからぬちきりはやすくかはるよに涙そた《見せ消ち:へ|え【朱】》ぬ中となりける
しのひて人につかはし給ひける 二条院御製
千【朱】
なとやかくさもくれかたきおほ空そ我まつことは有としらすや
寄鴬恋の心を 大納言隆季
忍ひつまきまさぬものをうくひすのひとく〳〵と何かゝたらふ
寄夢迷恋といふことを《振り仮名:よめる|イナシ【左朱】》 平資盛朝臣
心にもあら《見せ消ち:て|ぬ》わかれのかなしきはみはてぬ夢のこゝちこそすれ
過門不入恋といふことを《振り仮名:よめる|イナシ【左朱】》小侍従
すきぬ也もとこし道をわすれねはあゆみとゝまる駒をはやめて
大輔
わすれにしいも《振り仮名:|本ノ【朱】》 たれにかたりて今よひねぬらん
仁和寺にはへりけるわらはに物申けるかれ〳〵に
【欄外上部】
忍ひつま五月ノ巻に
見えたり
ひとく〳〵正月ノ巻
にみえたり
【左側】
なりたりけるに《振り仮名:|本ノ【朱】》ぬきみか心とみ《振り仮名:し|え歟》なくにつひにたえ
ぬる山河の水と申たりけるによみてつかはしける
法眼定快
山河の下に心はかよへともいはにせかゝるたえまとをしれ
右大臣家後番歌合に経年恋といふことをよめる
藤原経家朝臣
いかなれは人の《振り仮名:こゝろ|つらさイ【朱】》もみのうさもわか身ひとつにつもるなるらむ
思出昔《見せ消ち:の》恋といふことをよめる 俊恵法し
おもかけはむかしなからにみにそひてわれのみとしのお《見せ消ち:一ひ|い》にける哉
題しらす 藤原隆信朝臣
新拾【朱】
いかにまた心ひとつのかよひちもすゑはなこそのせきと成らん
藤原為忠朝臣