翻刻
【右】
賀茂重保か堂のうしろとに法門の歌を人〳〵
によませてゑにかき侍りけるに提婆品の心をよめる
成全法し
たくひなき玉に心のみかゝれてくもらぬ空にすめる月かけ
賀茂卅講五巻《見せ消ち:入|》日人〳〵重保か家にて提婆品の
こゝろをよみ侍りけるに 賀茂重保
千とせまてむすひしのりの谷水をけふみたらしにときなかす哉
勧持品の心をよめる 泰覚法師
くちはてゝあやふくみえしたえ〳〵《振り仮名:は|の 歟【朱】》 いたゝの橋も今わたすなり
寿量品の心をよめる 皇后宮大夫俊成
続古【朱】
かりそめ《振り仮名:に|の 続古【朱】》 夜半のけふりとのほりしや鷲の高ねに《振り仮名:かへ|かゝ 続古【朱】》 るしらくも
顕昭法し
【欄外上部】
続後撰神祇前太政大臣
神路山さこそこの世を
てらすらめくもらぬ空に
すめる月影
【左】
続古【朱】
わしの山いか《振り仮名: ゝ|に 続古【朱】》すみける月なれは入ての後もよをてらすらむ
常在霊鷲山のこゝろをよめる
寂然法師
ときはなるつるのはやしをはかなくもたきしつきぬと思ひける哉
観音品の心をよめる 平忠度朝臣
風【朱】
おりたちてたのむとなれはあすか川淵もせに成物とこそきけ
厳王品のこゝろをよめる 藤原経家朝臣
またしらぬまことの道に入ぬれはこのをしへこそうれしかりけれ
院因幡
人のおやまよふと聞し道なれとこのしるへするかたもありけり
二条院のみかとかくれさせおはしまして後その《振り仮名:《見せ消ち:くに|御れうに》|料【左朱】》
治部卿人をすゝめて一品経《振り仮名:しゆ|修【左朱】》し侍りけるに
【欄外上部】
後拾遺釈教
山階寺の涅槃講にまうてゝよみ侍ける
前律師慶暹
つねよりもけふの霞そ
あはれなるたきゝつきにし
煙とおもへは