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くもりむ影社見ゆれ隅田し
同に戸さくして明す夏の夜
熊谷堤を築しう天心二日のとしことにて小田原北条
家の時代にして世中も静ならざる節故に普請奉行
人足目付といひしは至て手荒て人足の働き不情成
を見ても其場におゐて直に切殺し厠に永く永く蚕も
かてんせす報をいたゝき〳〵人足を遣ひしとの事にて
兜を築に火割として壱尺壱人分と定吉足忘部
葛飾郡との百姓残りなく追ひ立て遣ひしことなから
行程拾六里の堤故百姓も絶かねて住深し古郷をふり
捨妻を引つれ半ち離さんせしことゝいふ此一事高
村々のいひ伝ひにて違ひもなきやうに聞へぬ是等の
の事をもへ共今の御代のありかたきこと身にあまる
御恵といふへし四無下民□うつかり忙然等〳〵むべし
きにもあらす