翻刻
〇春分(二月中)の日に東風ふけは麦(むき)の価(あたへ)賤(やす)く其年は
豊(ゆたか)也又南風吹は五月の先に大水の出る事
あり又後に旱(ひてり)也又西風吹は麦の価 貴(たか)し
又北風吹は米の価貴事一 倍(はい)也
〇立夏(四月節)の日に東風吹て雷(かみなり)東南の方より鳴(なる)は
年 豊(ゆたか)にして民安(たみやす)き也又西風吹は蝗(いなむし)をつかさ
とる也又北風吹は泉涌(いつみわき)出て地をうこかす也
〇夏至(五月中)の日に東風吹は八月にいたりて人おほく病に
患(うれへ)る也又南風吹は秋にいたりて大に熟(しゆく)す也又
西風吹は秋にいたりて大雨ふる也又北風吹は
山より大水の出るしるし也
〇立秋(七月節)の日に東風吹は疫病(ゑきひやう)をわつらひ又草木
更(さら)に茂(しけ)る也又南風吹は秋にいたりて旱(ひてり)して
凶(けう)也又西風吹は大雨のしるし也又北風吹は冬
にいたりておほく雪ふりてゆたか也
〇秋の日に北風吹は雨ふるといへとも却(かへつ)て秋の夜は
北風を以て天 晴(はれ)る也
〇秋分(七月中)の日に東風ふけは万物みのらす又 五穀(ここく)のあたへ
貴(たか)し又南風吹は凶也又西風吹は人民安(にんみんやす)く
年ゆたか也又北風ふけは冬にいたりてはなはた寒(かん)