翻刻
頃は安政二卯年十月日天ほからかに風あたゝかく此日ことにおだやかなり
しがあにはからんや夜四ツ時過四方にはかに鳴だうし大地震ふことおび
たヾしく一しゆんのうちに幾千まんの人家をゆりたをしそれがために
出火すること三十二ケ所火にやかれ家におされ命を失ひ五たいをそん
ずるものいくばく人か其数を知るべからず先あらましをこヽにしるすに
神田橋御門内酒井雅楽頭様向屋敷森川出羽守様焼るこの
へん御大名屋敷のこらず御そん和田倉御門内は松平下総守様松
平肥後守様焼る此へん御大名みなそんじる八代すがし上村但馬守
様松平相模守様火消やしきのこらずやける其他山下御門内なべ
嶋肥前守様やけて毛利大膳大夫様御やしきも少〻焼る此へん御大