東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

撫育草 - 翻刻

撫育草 - ページ 44

ページ: 44

翻刻

【右丁 上段】 銭(ぜに)咽(のど)につまりたるに ふのりをときて のみてよし ○又 油(あぶら)と酢(す)を呑(のむ)もよし是(これ)は胸(むね)わるき ゆへにつきかへすなり 【罫線あり】 諸(いろ〳〵の)魚(うを)の(に)毒解(あたりたる)には ふくべのたねを 【頭部欄外に】魚 干粉(ほしこ)にしてのむべし ○くちなしの実(み)をせんじのむべし 【罫線あり】 酒(さけ)にあたりたるには くずの花(はな)かなすびの 【頭部欄外に】酒 花(はな)かゆうがほの花(はな)かいづれにても干粉(ほしこ)にして 用(もち)ゆ○又 葛根(かつこん)もよし 【罫線あり】 菌(きのこ)の類(るい)にあたりたるには 桜木(さくらき)の皮(かわ)か 【頭部欄外に】菌 実(み)をせんじ用(もち)ゆ △松(まつ)たけにあたりたるに鰑(するめ)をせんじ用(もち)ゆ 【罫線あり】 そばにあたりたるに あらめをせんじ 【頭部欄外に】そば 用(もち)ゆ○又かりやすをせんじ用(もちゆ)るもよし 【左丁 上段】 餅(もち)の咽(のど)につまりたるに 一番酢(いちばんす)を呑(のむ)べし 【頭部欄外に】もち 【罫線あり】 湯火傷(やけと)には 胡瓜(きうり)の絞(しぼ)り汁(しる)をつくべし 【頭部欄外に】やけと ○馬(むま)のあぶらをつけてよし ○にわとりのたまごをつけてよし ○さとうを水にときてつけてよし 【罫線あり】 簽(そげ)【注】刺(たち)たるに かまきり虫(むし)のはらわたを 【頭部欄外に】そげ すり付てよし○又きうりの皮(かわ)をつけてよし ○又 蝿(はい)をつきたゞらかしつけてよし 【罫線あり】 うるしまけには 杉菜(すぎな)のしぼり汁(しる)を 【頭部欄外に】うるし つくべし○又はすの葉(は)をせんじあらふ ○大むぎを粉(こ)にし水(みづ)にてぬりてよし ○又かつをぶしをせんじ用(もち)ゆ 【罫線あり】 のどに骨(ほね)たちたるに 人(ひと)の爪(つめ)をせんじ用(もち)ゆ 【頭部欄外に】のど ○南天(なんてん)の葉(は)をせんじ用(もち)ゆ 【注 字面からこの字と思われるが「そげ」という義は無し。】 【右丁 下段】 粉(こ)にしごまの油(あぶら)にてときて入れてよし 【罫線あり】 のどけれ痛(いたむ)には【上記文字を四角で囲む】梅干(むめぼし)の黒(くろ)やきを吹入(ふきいれ)てよし ○又くちなしの実(み)をせんじ用(もち)ひてよし 【罫線あり】 鼻血(はなぢ)には【上記文字を四角で囲む】山梔子(さんしし)のはを黒焼(くろやき)にして 鼻(はな)の中(なか)へ吹入(ふきい)るべし○又(また)胡椒(こしやう)の粉(こ)を 紙(かみ)につゝみて鼻(はな)のつめとするもよし 【罫線あり】 睡遺尿(ねしやうべん)には【上記文字を四角で囲む】燕(つばめ)の巣(す)の中(なか)のくさを やきて粉(こ)にし水(みづ)にてのますべし ○あづきの葉(は)のしぼり汁(しる)をあたゝめのむべし 【罫線あり】 白禿(しらくも)には【上記文字を四角で囲む】鶏(とり)の卵(たまご)を蔴(ごま)あぶらにて 合(あわ)せ付てよし○蕪(かぶら)のくろやきをごまの あぶらにて付てよし 【左丁 下段】 狐臭(わきが)には【上記文字を四角で囲む】墨(すみ)をすりてわきのしたに ぬりて見るべし穴(あな)ある所(ところ)はかわかぬなり 其(その)かわかぬ所(ところ)へやいとすべし ○又 田(た)にしの殻(から)を粉(こ)にして付るもよし 【罫線あり】 喉痺(こうひ)には【上記文字を四角で囲む】酒(さけ)に塩(しほ)を入(い)れてくゝむ妙(みやう)也 ○又みかんの黒(くろ)やきを粉(こ)にして吹入(ふきいれ)てよし 【罫線あり】 ひゞあかぎれには【上記文字を四角で囲む】苦練(くれん)《割書:せんだん|の実》を酒(さけ)にて せんじ付(つけ)てよし 【罫線あり】 しもやけには【上記文字を四角で囲む】牡蛎(ぼれい)《割書:かき|がら》を粉(こ)にし 髪(かみ)のあぶらにてときて付(つく)べし ○里芋(さといも)土(つち)をあらはずやきて 粉(こ)にしかみのあぶらにてとき て付(つけ)てよし ○なすびの木(き)をせんじ付(つく)るもよし

現代語訳

【右丁 上段】 銭が喉につまったときには 布海苔を溶いて 飲んで良い。 ○また油と酢を飲むのも良い。これは胸が悪い ために吐き戻すからです。 【罫線あり】 各種魚の食中毒には 瓢箪の種を 【頭部欄外に】魚 干して粉にして飲むべきです。 ○梔子の実を煎じて飲むべきです。 【罫線あり】 酒に当たったときには 葛の花、茄子の 【頭部欄外に】酒 花、夕顔の花、いずれでも干して粉にして 用います。○また葛根も良いです。 【罫線あり】 茸類に当たったときには 桜の木の皮か 【頭部欄外に】菌 実を煎じて用います。 △松茸に当たったときにはスルメを煎じて用います。 【罫線あり】 蕎麦に当たったときには 荒布を煎じて 【頭部欄外に】そば 用います。○また刈安を煎じて用いるのも良いです。 【左丁 上段】 餅が喉につまったときには 一番酢を飲むべきです。 【頭部欄外に】もち 【罫線あり】 やけどには 胡瓜の絞り汁を付けるべきです。 【頭部欄外に】やけど ○馬の脂を付けて良い。 ○鶏の卵を付けて良い。 ○砂糖を水に溶いて付けて良い。 【罫線あり】 トゲが刺さったときには 蟷螂の内臓を 【頭部欄外に】そげ すり付けて良い。○また胡瓜の皮を付けて良い。 ○また蠅を潰して付けて良い。 【罫線あり】 漆かぶれには 杉菜の絞り汁を 【頭部欄外に】うるし 付けるべきです。○また蓮の葉を煎じて洗う。 ○大麦を粉にし水にて塗って良い。 ○また鰹節を煎じて用いる。 【罫線あり】 喉に骨が立ったときには 人の爪を煎じて用いる。 【頭部欄外に】のど ○南天の葉を煎じて用いる。 【右丁 下段】 粉にして胡麻の油にて溶いて入れて良い。 【罫線あり】 喉がただれて痛むには【四角囲み】梅干しの黒焼きを吹き入れて良い。 ○また梔子の実を煎じて用いて良い。 【罫線あり】 鼻血には【四角囲み】山梔子の葉を黒焼きにして 鼻の中へ吹き入れるべきです。○また胡椒の粉を 紙に包んで鼻の詰め物とするのも良い。 【罫線あり】 寝小便には【四角囲み】燕の巣の中の草を 焼いて粉にし水にて飲ませるべきです。 ○小豆の葉の絞り汁を温めて飲むべきです。 【罫線あり】 白癬には【四角囲み】鶏の卵を胡麻油にて 合わせて付けて良い。○蕪の黒焼きを胡麻の 油にて付けて良い。 【左丁 下段】 腋臭には【四角囲み】墨をすって脇の下に 塗って見るべきです。穴がある所は乾かないのです。 その乾かない所へお灸をするべきです。 ○また田螺の殻を粉にして付けるのも良い。 【罫線あり】 咽頭炎には【四角囲み】酒に塩を入れて含むのが妙です。 ○また蜜柑の黒焼きを粉にして吹き入れて良い。 【罫線あり】 ひび・あかぎれには【四角囲み】苦楝(栴檀の実)を酒にて 煎じて付けて良い。 【罫線あり】 しもやけには【四角囲み】牡蠣(牡蠣殻)を粉にし 髪の脂にて溶いて付けるべきです。 ○里芋を土を洗わずに焼いて 粉にし髪の脂にて溶い て付けて良い。 ○茄子の木を煎じて付けるのも良い。

英語訳

【Right Page, Upper】 When coins get stuck in the throat: Dissolve funori (seaweed paste) and drink it. ○ Also drinking oil and vinegar is good. This causes vomiting due to nausea. [Line] For poisoning from various fish: Dry bottle gourd seeds to powder and drink. ○ Decoct gardenia fruit and drink. [Line] For alcohol poisoning: Kudzu flowers, eggplant flowers, or bottle gourd flowers - any of these dried to powder and used. ○ Kudzu root is also good. [Line] For mushroom poisoning: Decoct cherry tree bark or fruit and use. △ For matsutake mushroom poisoning, decoct dried squid and use. [Line] For buckwheat poisoning: Decoct arame seaweed and use. ○ Decocting dyer's wormwood is also good. 【Left Page, Upper】 When rice cake gets stuck in the throat: Drink first-grade vinegar. [Line] For burns: Apply cucumber juice. ○ Applying horse fat is good. ○ Applying chicken egg is good. ○ Dissolving sugar in water and applying is good. [Line] When splinters pierce: Apply praying mantis entrails. ○ Also applying cucumber skin is good. ○ Also crushing flies and applying is good. [Line] For lacquer rash: Apply horsetail juice. ○ Also decoct lotus leaves for washing. ○ Powder barley and apply with water. ○ Also decoct dried bonito and use. [Line] When bones get stuck in throat: Decoct human nails and use. ○ Decoct nandina leaves and use. 【Right Page, Lower】 Powder and dissolve in sesame oil and insert. [Line] For sore, painful throat: Blow in charred pickled plum. ○ Also decocting gardenia fruit is good. [Line] For nosebleeds: Char gardenia leaves and blow into the nose. ○ Also wrapping pepper powder in paper as nose plugs is good. [Line] For bedwetting: Burn grass from swallow nests to powder and give with water. ○ Warm adzuki bean leaf juice and drink. [Line] For ringworm: Mix chicken egg with sesame oil and apply. ○ Apply charred turnip with sesame oil. 【Left Page, Lower】 For body odor: Rub ink under the armpits and observe. Places with pores won't dry. Apply moxibustion to those spots that don't dry. ○ Also powdering pond snail shells and applying is good. [Line] For throat inflammation: Gargle with salt in alcohol - it's wonderful. ○ Also powdering charred mandarin orange and blowing in is good. [Line] For chapped hands and chilblains: Decoct chinaberry (melia seeds) in alcohol and apply. [Line] For frostbite: Powder oyster shells and dissolve in hair oil and apply. ○ Burn taro without washing off soil, powder it and dissolve in hair oil and apply. ○ Decocting eggplant wood and applying is also good.