翻刻
【見返し】
【左丁上段】
天照大神(あまてらすおほんかみ)稚産霊日神(わかむすびのかみ)蚕(かいこ)を飼(かひ)
道(みち)を教(おしへ)給へ。保食神(うけもちのかみ)は眉(まゆ)を作(つく)り
まし〳〵て・糸道引(いとひくみち)始(はじめ)て有(あり)しとなん。
眉(まゆ)に生(しやう)するとはまゆは蚕(かいこ)の眉に
似(に)れば斯云(かくいふ)にぞ。蚕(かいこ)の口(くち)より糸(いと)を出(いだ)
すを見(み)て糸繰道(いととるみち)も始(はじまり)しとなん又(また)
稚日女尊(わかひるめのみこと)斎服殿(いんはたどの)にいまして。神(かみ)の
御祓(みぞ)を主(つかさ)どらせ給ふとかや・故(ゆゑ)にこの
御神(おんかみ)を糸(いと)綿(わた)すべて衣服(いふく)加護(かご)の御(おん)
神(かみ)と崇(あが)め奉(たてまつ)る・また神の御教(おんおしへ)なれ
ば織殿(をりどの)へも不浄(ふじやう)の事を甚(はなはた)忌嫌(ゐみきら)ふ
なり・
蚕(かいこ)種子(たね)見様(みやう)の事
【左丁下段】【図】
橋□□□□【本玉蘭斎】画
現代語訳
【見返し】
【左丁上段】
天照大神と稚産霊日神が蚕を飼う方法を教えてくださった。保食神は繭を作られて、糸を引く技術が始まったということである。
繭に生じるというのは、繭が蚕の眉に似ているからそう言うのである。蚕の口から糸を出すのを見て、糸を取る技術も始まったということである。また稚日女尊が斎服殿にいらして、神の御祓を司られたということである。そのため、この御神を糸や綿、すべての衣服を守護する神として崇め奉る。また神の御教えであるから、織殿においても不浄なことを非常に忌み嫌うのである。
蚕の種子の見分け方について
【左丁下段】【図】
橋□□□□【本玉蘭斎】画
英語訳
【Endpaper】
【Left Page, Upper Section】
Amaterasu Omikami (the Sun Goddess) and Wakamusuhi-no-kami (the Young Producing Spirit) taught the way of raising silkworms. Ukemochi-no-kami (the Food Goddess) created cocoons, and thus began the art of drawing silk threads.
The reason it is said to "arise from the eyebrow" is that cocoons resemble silkworm eyebrows. Seeing silkworms produce threads from their mouths, the technique of reeling silk also began. Furthermore, Wakahirume-no-mikoto resided in the Sacred Weaving Hall and presided over divine purification rituals. Therefore, this deity is revered as the protective god of thread, cotton, and all clothing. Since these are divine teachings, impure matters are strictly taboo in weaving halls.
On examining silkworm seeds
【Left Page, Lower Section】【Illustration】
Hashi□□□□【Hon-gyokuransai】 artist