翻刻
しづまりて諸人はじめてあんどはすれど家をうしないろと
うにまよい親子きやうだいふうふの中もはなれ〴〵のみな
死わかれけるなんぎの其おりからにこんど尾張の旧との
様はもとの領分百姓方へ五万円なるおすくい下るなをも
せいふの会ぎをひらきあいちぎふなる両県内へとうじ
おてあて三十五万五千円なるおすくい下る山のくづれにどう
ろのふしんかぎりしられぬ其おてくばりのこるかたなき御上
様のふかきめぐみの其ありがたき聞もとうとき一らくばなし《割書:ヤン|レ》
現代語訳
静まって人々は初めて安堵したが、家を失い路頭に迷い、親子兄弟夫婦の仲も離れ離れになり、皆死に別れたという難儀なその折に、今度は尾張の旧殿様が元の領分の百姓方へ五万円の救済金を下された。なお政府も会議を開き、愛知・岐阜両県内へ当時のお手当て三十五万五千円の救済金を下した。山の崩れに道路の復旧など限りなく知れぬその手配りの残すところなき御上様の深い恵みの、そのありがたさを聞くのも尊い良い話である。