みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE1

十二ヶ国大地しんくどき - 翻刻

十二ヶ国大地しんくどき - ページ 5

ページ: 5

翻刻

なさけなやくづれかさなるれんがの下にもがきくるしむ ぢごくのせめくたまに命をのがれしものも半死半しやうの ておいとなりてあまた工女にやく人たちも二十よ名はたすかり たれど五百よ人はうちひしがれてあはれむざんな其あり さまにそれと聞より親きやうだいはこけつまろびつかけつけ みるに山のごとくにおちかさなりしれんがくづれし其中よりもきか いば所より火がもへあがりすくうてだてもたゞなきさけび聞も おそろしはなしでござる又は岡ざきたるいの宿の此や間 ̄ダ の てつどうこそは二丈あまりもみなおちくぼみ三里あま りもでんしんばしらきれてとびちりふつうとなりて鉄道 会社とでんしん局の其やそんがい十万円よやけた戸数 が六万あまり諸所の死人の其そうけいが凡七万三千よ人 廿八日明がたよりも十日かんなる日かづのうちにちうやゆれたる ぢしんのかづは凡五百と三十四度諸人諸方にたゞなきさけ びいきたこゝちもなきおりからに頃も十一月十一日の日ぐれ 頃より雨ふりいだし二日一よの大雨ありてやう〳〵ぢしんもゆり

現代語訳

なんと哀れなことか、崩れ重なる煉瓦の下でもがき苦しむ、地獄の責め苦。たまたま命を逃れた者も半死半生の手負いとなって、多くの工女や役人たちのうち二十余名は助かったものの、五百余人は押しつぶされて、哀れ無惨なその有様に、それと聞くより親・兄弟は転げつまずきながら駆けつけ、見れば山のごとくに落ち重なった煉瓦の崩れたその中より、機械場所から火が燃え上がり、救う手立てもなく、ただ泣き叫ぶ声の聞くも恐ろしい話でございます。また岡崎・垂井の宿のこの辺りの鉄道は、二丈余りも皆落ち窪み、三里余りも電信柱が折れて飛び散り、不通となって、鉄道会社と電信局のその家・損害は十万円余り、焼けた戸数が六万余り、諸所の死人のその総計が凡そ七万三千余人。二十八日の明け方より十日間なる日数のうちに、昼夜揺れた地震の数は凡そ五百三十四度。諸人諸方にただ泣き叫び、生きた心地もない折から、頃も十一月十一日の日暮れ頃より雨が降り出し、二日一夜の大雨があって、ようやく地震も揺れ。