東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト8

伊勢物語大全 - 翻刻

伊勢物語大全 - ページ 35

ページ: 35

翻刻

【右丁・上段】 へをきく。かりにもあしき ことをきかず。さはがしからず 物におどろかぬやう ̄ニすれは 生るゝ子。ちゑふかく。無病(むびやう) なるべし。五か月めに吉日 をえらひ。おびをすべし おびはすゝしを八尺にして 四つにたみ。其男の左の 袖より。女の右の手へわた すべし。是さだまりたる祝 義也。此帯をしそめて。後は 外のおびを取かへしまふべし おびをして後男にまし はる事。たびしけゝれは。生れ 子。ほうさうをもく。わづらむ おほし。つゝしむべきこと也 【右丁・下段】 古今  いたづらに行てはきぬる物ゆへに見まくほしさにいざなはれつゝ 水の尾の御(ヲン)時成べし。大みやす ̄ン所も染殿の后也。五条の后とも 六十六 昔男津の国にしる所有けるに。兄おとゝ友だちひきゐて。難 波のかたにいきけり。渚を見れば船どものあるを見て 後撰   なにはづをけさこそみつの浦ごとにこれや此世を海わたる船 これをあはれかりて人々かへりにけり 六十七 昔男《振り仮名:せうえう|たのしみありく也》しに思ふとちかいつらねて。いづ【「み」脱落か】の国へ《振り仮名:きさ|二月也》らぎ計にい きけり。かうちの国いこまの山をみれは。くもりみはれみ。立ゐる雲やま ず。あしたよりくもりてひるはれたり。雪いとしろう。木の末に ふりたる。それを見てかの行人の中に《振り仮名:ひとり|なり平也》よめる   きのふけふ雲の立まひ《振り仮名:かく|かくす也》ろふは花のはやしを《振り仮名:うし|ねたむ也》と成けり 六十八 昔。男いづみの国へいきけり。住吉の郡すみよしの里。住吉のはまを行 に。いと面白けれは。おりゐつゝゆく。ある人すみよしのはまとよめといふ 【左丁・上段】 うぶゆひく所 【挿絵】 【左丁・下段】《振り仮名:|》   雁なきて菊の花咲秋はあれと春のうみべにすみよしのはま とよめりければ。《振り仮名:皆人々よま|此哥をかんじてやみたる也》ず成にけり 六十九 むかし。男有けり其おとこいせの国にかりの使にいきけるに。かの いせの斎意成ける人のおや。つねの使より《振り仮名:此人|なり平也》よくいたはれといひ やれりけれは。親のこと成けれはいと念頃にいたはりけり。あしたには かりに出したてゝやる。夕さりは帰りつゝそこにごさせけり。かくて念 比にいたづきけり。《振り仮名:三日【諸本は「二日」】とい|なり平くだりて》ふ夜。男《振り仮名:われて|わりなく也》あはんといふ。《振り仮名:女もは|斎宮■同心也》たいと あはじとも思へらず。されど人めしげれはえあはず。つかひざねとある人 なれは。遠くもやどさす。女のねやもちかく有けれは。女。人をしづめて ねひとつはかりに。男のもとに来りけり。男はたねられざりけれは 《振り仮名:とのか|外の辺を也》たを見いだしてふせるに。月のおほろなるにちいさきわらは をさきにたてゝ人たてり。男いとうれしくて。我ぬる所にゐで入て 。ねひとつよりうし三つまであるに。まだ何事もかたらはぬに帰り