翻刻
地震三十六歌撰序
平亭老人地震六々撰を著して予に序を
丐ふ。即六の字三十六を以(モテ)。此を綴る。抑六々公任
の撰はれしより以来(コノ□タ)。それに習ひて、くさ〴〵いで
きつれど。それらの文とハ瓦落離(からり)と替りし。地
震六々撰ハ歌毎に六情をぞ述られたるされハ
二六時中に是をよみ六味の如く是を味はひ《ルビ:六|リク》
戚に見せ六親に聞かせいひつぎ語りつき〳〵に
伝へるハ六々一里の江戸よりして六十餘州に
流布すべしさハれいまだ稿本もろく〳〵見す
其趣意をだにくハ《ルビ:四九|シク》きかねど翁が広きを《ルビ:予|ワレ》
能はれゝハ聊難ハなかるべし固より学びハ和漢
を兼ね六朝の書に達し六国史に通し詩の
六義を賦し歌の六体を詠し六部集の狂文を
好み六樹園の狂影を嗜みて六蔵の亀戸村に幽
居して六々山人が陸逸の風致ありすべて六時
流行におくれざること六枚肩の《ルビ:竹輿|カコ》よりも早く
六脉健なれハ六律の耳順へる年ハ越れど六門屋