翻刻
の足駄をはきて。六里の道を昼前に往返る其
をほくに立よりて。六度ほどの催促に。六日ま
でといひのばし。朝の六ツから暮の六ツまで。
なりはひしけくひまなきいとまに。どうや
らかうやらこじつけたれど。九六の銭の
百のうち。六十許ぬけもの多き。六文ほど
の筆取て。序らしき物を誌すになん
安政三年丙辰四月 花屋三世桜井蛙麿
地震三十六歌撰序
天に酒星あり。地に酒泉あり。天地元より酒
好にておしかけ客なる御地震の。腹立上戸に
あざけられ。お手元処歟。足もひよろつく
迄に皆潰され。こつては思案に能はずも
和歌も狂歌も取交て。口から出次第《ルビ:咄|はなし》
散しぬ。此酔さめて是を見は。色青さめて
頭痛鉢巻。二日酔の心地して。後悔臍を