翻刻
安政乙卯初冬大地震之時
詠長歌幷短歌
ぬば玉のよひの波雲たゝよひて|海月(クラケ)なし
けり天の原憂世に諭(サト)す競?朝?す水也
雲ともあらかねの|地(ツチ)や|天(アメ)とも神ならぬ
世の来□にわりもなきあなうたかたの沫
に似し|産霊(ムスブ)の魂の蒼生(ヒトクザ)は神のめく
みに生(ナ)るとたに|牽牛花(アサカホ)【アサガオ】のおく露ほとも
しらてむなしく天地の神に背きし
なほざりを治まる御代に太刀劔御手には
とらでかむな月二日の夜(ヨハ)によるべして
将軍(ミイクサギミ)のおはします大樹の陰のみあたりに
ふるひし|地震(ナ井)の誡(イマシメ)は有にもあらぬ|雷光(イナツマ)
の火(ホ)の散る間にて|狂津日(マガツヒ)【禍津日神】の災ひこと
ありつれど怒りをよそにたつ田彦風を和(ナゴ)
して鎮りぬあな尊しなよりもやまの|國土(クニ)