翻刻
広沢記
浅野家義士之中に広沢剣術之同門七人あり堀部父子ハ通家也吉良
氏の玄関前に建置し遺書の文字に君の仇にハともに天を戴すと書
たり本文ハ父の仇也君と書てハ如何あらんと堀部父子尋たる時広
沢答ていはく不苦也大事をなすにハ文章によるへからす君の仇と
書て随分しかるへしといはれたると也かゝる大事を思ひ立人かゝ
ることを広沢にハかくさす語りたる是にて広沢の人物察ししるへ
し
一広沢剣術と堀内源太左衛門に学ふ堀部父子同門中にてわけて懇意
なり堀部弥兵衛実子あり披官の者を切害せんと欲して却而披官の
ためにころさる時に年十五歳父弥兵衛即披官を殺す其後子なし娘