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コレクション: アジアの映画関連資料アーカイブ

デンキカン・ニュース - 翻刻

デンキカン・ニュース - ページ 2

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【(二)頁 上段外枠】 (二) 大正九年六月廿五日発行 デンキカンニユース 第七十八號 【(二)頁 下段】 大正九年六月二十五日封切 特別大興行映畫番組         米国ヱデイケーシヨナル社映畫  (1) 賜 台 覽 實寫 [楽天郷の晝夜] 全一巻                 説明 細山夢眼      米国パラマウント社アーバツクル映畫      監督兼作者ロスコー、アーバツクル氏       『デブのアーバツクル君        アルセント、ジヨン君 共演      (2) 喜活劇 [デブの天幕生活] 全二巻             "CAMPING OUT"             説明 徳永天露      米國アートクラフト社特別映畫――巨星セシル、ビー、デミル氏一代の大作  (3)  《割書:芸術的|大作品》 [男性と女性] 全九巻      Cecil B. DeMill【DeMille】's production "MALE AND FEMALE"    △原  作………………………………………………………ゼー、ヱム、バーリー氏    △補  作……………………………………………ジヤニー、マツクフアースン女史    △監  督………………………………………………………セシル、ビー、デミル氏    △撮  影……………………………………………………アルヴイン、ウイコツフ氏    △美術監督……………………………………………ウイルフレツド、バツクランド氏    △製作支配…………………………………………………………ホワード、ヒツギン氏    △製  作……………………………一九一九年十一月ジヱツス、エル、ラスキー社    △東洋映寫権所有………………………………………………日本活動寫眞株式會社          [説明擔任] 西川遊魂 石野馬城 高岡黒眼          [音楽擔任]……………………… 管絃楽團第一部第二部演奏 【(三)頁 上段外枠】  大正九年六月廿五日発行 デンキカンニユース 第七十八號 (三) 【(三)頁 中段】         ==映畫の概略== 『神はその己の像の如く人を創造し玉へり== 即ち神の像の如く人を創り、之を男と女とに別 ちたまへり………舊約聖書創世記第一章二七節 『神のなし玉ふ創造の數の中に加へられて== 此世に女と生れて、ロンドンの贅澤なるローム 家の複雑な運命の中に交つて、『トウイーニ』は 奉公す………………………………リラ、リー嬢 『ローム伯爵――此人の貴族的な我儘な眼にも 貴族の血は果して青いか、或は普通の人の如く 紅いか、後日実際に判明する時あらん==== (註古言に因る)…………テオドル、ロバーツ氏 『ローム卿の従弟アーネスト、ウーリは身分あ るに任せて、常に料亭で食事し、莫大な支拂を 爲せる人なり…………レイモンド、ハツトン氏 『ローム卿の妹娘アガタ、レイゼンビーは美人 に有り勝の事ながら、己の顔の様子そのものよ りも、其時々の顔の様子を處置して行く方が却 つて大切であると云ふことを知れる女である… ………………………ミルドレツド、レアード嬢 『姉娘メリー、レイゼンビーは、手と云ふ者は 單に爪磨き師に磨いて貰ふばかりでなく働かせ るためのもの、頭は單に美々しく飾り立てるも のではなく物を考へるためのもの、又心は常に 物事に吃驚するばかりでなく人を愛するための ものである事を、知る必要のある人である…… …………………………グロリア、スワンスン嬢 『ローム家の召使頭イリアム、クリチトン―― 此男は實に見上げた人物である………………… …………………………トーマス、ミーハーン氏 『こりやボーイ、其様なことをしてゐると今に 死刑臺に乗せられる様になるゾ。 『人道は確かに精煉されて來れるは事實なるも 或は貴族的になりつゝあるにあらざるか――婦 人は屢々入浴すると雖、太古の女達より美人と なりしと云ふ譯のものにもあらず。何故浴室を 【(三)頁 下段】 客間の如く美々しく飾る必要ありや? 『お前は近頃注意が足りませんよ、妾の入浴の ことに付て少しも氣を付けないのね。熱さは九 十度以上はいけません。 『薔薇水。 『若し何人かゞローム家の令嬢と、臺所働きの 例の『おさんどん』との運命は、到底離すべから ざる程共に結びつけられたものであると、その 二人に物語らば、共に眼を見張つて笑ふべし。 『化粧水。 『薔薇の嬢へ―――今朝私はお伺ひ致します、 そして其節貴女様の可愛ゆき白き手の指に好い 物を差上げませう―――ブロツケル、ハースト 『些細なことが生み出す大喧嘩。      第二巻 『此トーストは駄目になり過ぎて、随分柔かい のね===(お互に皮肉くる) 『駄目になるものはトーストに限つてゐるので 御座いませうか……お嬢さん! 『物を較べるのは嫌な氣持のするもので、また 時には危險なこともある。 『これでいゝ事よ、クリチトン! 『靜かなる場所にて書物に親しむことは、地位 の高きと低きとを問はず、すべての人を仲よく せしむものである。 『詩集――イリアム、アーネスト、ヘンレー。 『栄えし時も過ぎ去りて        みな墓場のものとは失せぬ   娑婆にありしその時は          我は、バビロンの王――。          汝は――奴隷の白人――。 『私は誰の奴隷でもありません。違ひますよ。 『ですけれど貴方の奴隷にならなりますワ。 『アツギーさん!貴女ヘンレー詩集の第二巻を 見ましたか? 【(四)頁 上段外枠】 (四) 大正九年六月廿五日発行 デンキカンニユース 第七十八號 【(四)頁 中段】 『我は汝を見て、奪ひ取り。側へと引寄せて。    汝の誇りを無惨や、打ち摧きたり。 『アーニーさん!貴方ヘンレー詩集の第二巻を 見ましたか? 『クリチトンや、妾ヘンレー詩集の第二巻を探 してゐるんだがね。 『――詩――七と同文。 『あら、クリチトンや!お前が古代バビロニア の王様のことが好きだつたとは、妾少しも知ら なかつたワ。 『處が爰に、バビロニアのことは少しも知らざ れども、クレオパトラダンスに出る或る女王の 事は非常によく知れる人物あり。其名はブロツ ケル、ハースト卿…………ロバート、ケーン氏 『あの人とお嬢様とは好いお仲間ぢやないの? 『クリチトンや、ブロツケル、ハースト卿にソ ーダ水を割つてウイスキーを上げて頂戴! 『立派な若様と令嬢とが直ぐ結婚する筈であつ たと云ふ事が、身分賤しき召使頭に何の關係あ らんや! 『お茶を入れる時==此打ち解ける時==に自 分の心配な戀愛事件を親友に打明けて智惠を借 らんと、アイリーンと云ふ令嬢が訪問する。 『アイリーンさん、私等はヨツトで南洋に旅行 する相談が今出來たのですか、貴女は何故御一 諸にお出でにならないんですか? 『難有う厶いますが一寸参りかねると思ひます 妾、メリーさんに少し御相談したいことがあつ てお伺ひいたしましたの。 『メリーさん、私のある御友達が御自分よりも 身分の低い方を大變に思つてゐらしやるのよ。 又その男の方も妾のお友達を愛し、結婚したい と望んで被在るの………でこの二人の方は本當 に幸福に暮せるでせうか? 『相手の男の方と云ふのは、その女の方の家に 勤めてゐらつしやるのよ。 【(四)頁 下段】 『ジヤツク、ドーとパラダイズ、バードとを一 諸に一つの籠の中に入れて置れるものですか! ねえアイリーンあん!矢張同じ類のものでなく ちや駄目ですワ、貴女だつて妾だつて眞逆、左 様でないとは云へますまい。      第三巻 『そりやね、メリーさん!何とでも云へますけ れど貴女が何としても……我關せずと云つた風 の顔してゐられないものが只一つあります…… ……それは、戀ですワ。 『お前方召使の者は、近頃随分無遠慮になつて 上下の區別がないのね。 「人と云ふものは他人の心がどんなものか能く 判らぬもので厶います。人すべて自然に還り土 塊となりましたら、最う其時から貴女は御嬢様 でもなく私は下男でも御座いません。吾々は自 然のなすすがまゝになるもので御座います。 『波の上を、辷り出て行くその船に、   楽しく乗れる令嬢は、戻るつもりで旅の空。 『激流を横切つて――。 『新聞』==アイリーン、ダンクレーギー嬢の結 婚――不意の発表――花聟は花嫁の家の召使。 モルン公爵の一人娘アイリーン嬢は………。 『女が此様な男と結婚すれば、直ぐに嫌になる だらうと僕は思ひます。 『餘り滑稽ですワ。まるで妾がクリチトンと結 婚するのと同じ様ですもの………。 『此話の様な事も其儘お了ひになつたかも知れ ぬ――若し一同が風に吹き寄せられて海圖にも ない熱帯國の海に行かなかつたならば………。 『妾はクリチトンさんの側に居りたいばかりに お嬢様の女中となつて船に乗つたのに、彼の人 は妾を見向いても呉れないんですもの………。 『――詩――。 『此ボートは婦人用のです。旦那様、直ぐに別 のボートを支度致します。 【(五)頁 上段外枠】 大正九年六月廿五日発行 デンキカンニユース 第七十八號 (五) 【(五)頁 中段】 『メーリ嬢さんは何處だ? 『嬢様を探し出す迄は、私は此舟から離れない。 『突如――太陽の光に消ゆる露の如く―メリー 嬢は彼にとつて、最早立派なお嬢様ではなくな つた。普通の女であつた==憐むべき且綺麗な 一婦人に過ぎなくなつた。      第四巻 『父様は何所に在らつしやるのだらう?誰かお 父様を見た方はありませんか? 『貴方は濕つて冷たいでせう? 『習慣と云ふものは人間の性質に偉大な力を及 してゐるもので、急に習慣は變るものでない。 香水入の入浴に慣れてゐたローム家の人は―― 自然の警鐘は、射し登る太陽である――と云ふ ことがまだ分らない。 『私は難破した船へ行つて、何かあるか見て來 ます。貴方や他の方は、岩の下の方へ下りて貝 を採つて來て下さい。 『==スイス家族のロビンソン== 『==私は猿に石を五つ六つ投げ始めました。 猿は人眞似する癖があるから、木に實つてゐる コーコナツトを毮り取つて大變な勢で擲けたか ら、早速拾つて私は其實の皮を剥ぎました。 『==詩集== 『僕は貴女のお側にゐる時の平素同様に、僕の 服を折目を正しく押かけてゐるんです。 『火を起すのですから、貴方の時計の蓋ガラス を貸して貰ひたいのです。 『ねえクリチトン!餘程時間も遅れてゐるのだ から、朝の食事の支度を急いでしてお呉れ! 『小川へ行つて水を一杯汲んで來給へ! 『水を運んだりすりや、僕弱つて了ふよ。 『トウイーニ!俺はアーネストさんを伴れて川 へ水汲みに行くから、火の側を離れるな!      第五巻 『此次に、正直に仕事をしないと、こんな事は 【(五)頁 下段】 幾度でもあるゾ。 『トウイーニ!お前にお給金を拂つてるのはク リチトンぢやないのよ。妾だよ。 『お嬢様吾々一同は此島で、今後一生暮す様に なるかも知れません。だから此島では物を買ふ お金と云へば働くと云ふ事の外はありません。 働きの嫌な人は寒くなつて飢じくなつて……。 『クリチトンや、妹や妾が働かなければ、お前 は妾等に食べさせないと云ふのかへ? 『早く〳〵!虎が来た! 『あらお父様!貴方が來て下つたからには貴方 が此島の一等上席の地位に就いて下さいな。 『クリチトンや、此島の頭に誰がなるかと云ふ 問題は只一度きり取極めればいゝのだ!元々貴 族に生れた俺が当然皆に指揮せねばならぬ。 『旦那様、私共は英國に居りまする時、誰を頭 にするのしないのと云ふ様な事は少しもありま せんでした。又此島でもそれを極める事も厶い ますまい。ですが今迫る問題はメーリ様の黄金 で装つたレースを拝借したいのであります。恰 度誂へ向きの魚取網になりますから……。 『お前は今直ぐにお詫するか、夫とも一ヶ月後 には暇をやるから其積りでゐるがいゝ! 『夫では若しクリチトンが妾の仲間から離れて 出て行かぬと云ふならば、妾等の方からクリチ トンと別れて了ひますよ。 『英國で貴族であると云ふことゝ、無人島で貴 族であると云ふのとは又別問題である。 『太陽の照つて居る晝の間勇氣あるのと、夜の 闇黒の中にあつて勇氣あるのとは又別個の問題 である。 『アーネストさん!オクスフオード大學卒業の 方は、召使頭よりも物事を知らないなんて云ふ 事は厶いますまい―――寒さに震へてゐる婦人 を暖かにする方法を御存知ないのですか? 『妾は皆さんと同様に餓じいのです――けれ共

現代語訳

【2頁 上段外枠】 (二) 大正九年六月二十五日発行 デンキカンニュース 第七十八号 【2頁 下段】 大正九年六月二十五日封切 特別大興行映画番組 米国エデュケーショナル社映画 (1) 御台覧実写 [楽天郷の昼夜] 全1巻 説明 細山夢眼 米国パラマウント社アーバックル映画 監督兼作者 ロスコー・アーバックル氏 『太ったアーバックル君 アルセント・ジョン君 共演 (2) 喜活劇 [太った男のキャンプ生活] 全2巻 "CAMPING OUT" 説明 徳永天露 米国アートクラフト社特別映画――巨星セシル・B・デミル氏一代の大作 (3) 《芸術的大作品》 [男性と女性] 全9巻 Cecil B. DeMille's production "MALE AND FEMALE" △原作……J・M・バーリー氏 △脚色……ジーニー・マクファーソン女史 △監督……セシル・B・デミル氏 △撮影……アルヴィン・ワイコフ氏 △美術監督……ウィルフレッド・バックランド氏 △製作統括……ハワード・ヒギンズ氏 △製作……1919年11月 ジェス・L・ラスキー社 △東洋映写権所有……日本活動写真株式会社 [解説担当] 西川遊魂 石野馬城 高岡黒眼 [音楽担当] 管弦楽団第一部第二部演奏 【3頁 上段外枠】 大正九年六月二十五日発行 デンキカンニュース 第七十八号 (三) 【3頁 中段】 ==映画のあらすじ== 「神はご自身に似せて人を創造された。すなわち神に似せて人を創り、これを男と女に分けられた」……旧約聖書創世記第1章27節 「神の創造の数々に加えられて、この世に女として生まれ、ロンドンの贅沢なローム家の複雑な運命に関わって、『トゥイーニ』は奉公する」……リラ・リー嬢 「ローム伯爵――この人の貴族的でわがままな目にも、貴族の血は果たして青いのか、それとも普通の人のように赤いのか、後日実際に判明する時があろう(古い言い伝えによる)」……セオドア・ロバーツ氏 「ローム卿の従弟アーネスト・ウーリは身分に任せて、常に料亭で食事し、莫大な支払いをする人である」……レイモンド・ハットン氏 「ローム卿の妹娘アガタ・レイゼンビーは美人にありがちなことながら、自分の顔の様子そのものよりも、その時々の顔の表情を上手に処理していく方がかえって大切だということを知っている女である」……ミルドレッド・レアード嬢 「姉娘メリー・レイゼンビーは、手というものは単に爪磨き師に磨いてもらうだけでなく働かせるためのもの、頭は単に美しく飾り立てるものではなく物を考えるためのもの、また心は常に物事に驚くだけでなく人を愛するためのものであることを、知る必要がある人である」……グロリア・スワンソン嬢 「ローム家の執事頭ウィリアム・クライトン――この男は実に立派な人物である」……トーマス・ミーハン氏 「これはいけない、そのようなことをしていると今に死刑台に載せられるようになるぞ。」 「人類は確かに洗練されてきたのは事実だが、あるいは貴族的になりつつあるのではないか――婦人はしばしば入浴するといえども、太古の女たちより美人となったというわけでもない。なぜ浴室を客間のように美しく飾る必要があるのか?」 【3頁 下段】 「あなたは近頃注意が足りませんよ、私の入浴のことについて少しも気をつけないのね。熱さは90度以上はいけません。」 「薔薇水。」 「もし誰かがローム家の令嬢と、台所働きの例の『お三度』との運命は、到底離すことのできないほど共に結びつけられたものであると、その二人に物語れば、共に目を見張って笑うであろう。」 「化粧水。」 「薔薇の嬢へ――今朝私はお伺いします、そしてその節あなた様の可愛い白い手の指に良い物を差し上げましょう」――ブロッケル・ハースト 「些細なことが生み出す大げんか。」 第2巻 「このトーストはだめになり過ぎて、随分柔らかいのね」(お互いに皮肉を言い合う) 「だめになるものはトーストに限っているのでございましょうか……お嬢さん!」 「物を比べるのは嫌な気持ちのするもので、また時には危険なこともある。」 「これで良いことよ、クライトン!」 「静かな場所にて書物に親しむことは、地位の高低を問わず、すべての人を仲良くするものである。」 「詩集――ウィリアム・アーネスト・ヘンレー。」 「栄えし時も過ぎ去りて すべて墓場のものとは失せぬ この世にありしその時は 我は、バビロンの王――。 汝は――奴隷の白人――。」 「私は誰の奴隷でもありません。違いますよ。」 「ですけれどあなたの奴隷になりましょうわ。」 「アギーさん!あなたヘンレー詩集の第2巻を見ましたか?」 【4頁 上段外枠】 (四) 大正九年六月二十五日発行 デンキカンニュース 第七十八号 【4頁 中段】 「我は汝を見て、奪い取り。側へと引き寄せて。 汝の誇りを無残や、打ち砕きたり。」 「アーニーさん!あなたヘンレー詩集の第2巻を見ましたか?」 「クライトンや、私ヘンレー詩集の第2巻を探しているんだがね。」 (詩は7と同文) 「あら、クライトンや!お前が古代バビロニアの王様のことが好きだったとは、私少しも知らなかったわ。」 「ところがここに、バビロニアのことは少しも知らないが、クレオパトラダンスに出るある女王のことは非常によく知っている人物がいる。その名はブロッケル・ハースト卿」……ロバート・ケイン氏 「あの人とお嬢様とは良いお仲間じゃないの?」 「クライトンや、ブロッケル・ハースト卿にソーダ水を割ったウイスキーを上げて頂戴!」 「立派な若様と令嬢とがすぐ結婚するはずであったということが、身分賤しい執事頭に何の関係があろうか!」 「お茶を入れる時――この打ち解ける時――に自分の心配な恋愛事件を親友に打ち明けて知恵を借りようと、アイリーンという令嬢が訪問する。」 「アイリーンさん、私たちはヨットで南洋に旅行する相談が今できたのですが、あなたはなぜご一緒にお出でにならないんですか?」 「ありがとうございますが、ちょっと参りかねると思います。私、メリーさんに少しご相談したいことがあってお伺いしたしましたの。」 「メリーさん、私のある友達がご自分よりも身分の低い方を大変愛していらっしゃるのよ。またその男の方も私の友達を愛し、結婚したいと望んでいらっしゃるの……でこの二人の方は本当に幸福に暮らせるでしょうか?」 「相手の男の方というのは、その女の方の家に勤めていらっしゃるのよ。」 【4頁 下段】 「ジャックドウ(カラス)とパラダイスバードとを一緒に一つの籠の中に入れて置けるものですか!ねえアイリーンさん!やはり同じ類のものでなくちゃだめですわ、あなただって私だって、まさかそうでないとは言えますまい。」 第3巻 「それはね、メリーさん!何とでも言えますけれど、あなたが何としても……知らん顔していられないものが只一つあります……それは、恋ですわ。」 「お前ら召使いの者は、近頃随分無遠慮になって上下の区別がないのね。」 「人というものは他人の心がどんなものかよく分からないものでございます。人すべて自然に帰り土塊となりましたら、もうその時からあなたはお嬢様でもなく私は下男でもございません。我々は自然のなすがままになるものでございます。」 「波の上を、滑り出て行くその船に、 楽しく乗れる令嬢は、戻るつもりで旅の空。」 「激流を横切って――。」 「新聞」――アイリーン・ダンクレーギー嬢の結婚――不意の発表――花婿は花嫁の家の召使い。 モルン公爵の一人娘アイリーン嬢は………。 「女がこのような男と結婚すれば、すぐに嫌になるだろうと僕は思います。」 「あまり滑稽ですわ。まるで私がクライトンと結婚するのと同じようですもの………。」 「この話のようなこともそのまま終わってしまったかもしれない――もし一同が風に吹き寄せられて海図にもない熱帯国の海に行かなかったならば………。」 「私はクライトンさんの側にいたいばかりにお嬢様の女中となって船に乗ったのに、彼の人は私を見向きもしてくれないんですもの………。」 「詩――。」 「このボートは婦人用です。旦那様、すぐに別のボートを用意いたします。」 【5頁 上段外枠】 大正九年六月二十五日発行 デンキカンニュース 第七十八号 (五) 【5頁 中段】 「メリー嬢様はどこだ?」 「嬢様を探し出すまでは、私はこの舟から離れない。」 「突如――太陽の光に消える露のように――メリー嬢は彼にとって、もはや立派なお嬢様ではなくなった。普通の女であった――憐むべきかつ美しい一婦人に過ぎなくなった。」 第4巻 「父様はどこにいらっしゃるのだろう?誰かお父様を見た方はありませんか?」 「あなたは濡れて冷たいでしょう?」 「習慣というものは人間の性質に偉大な力を及ぼしているもので、急に習慣は変わるものでない。香水入りの入浴に慣れていたローム家の人は――自然の警鐘は、射し昇る太陽である――ということがまだ分からない。」 「私は難破した船へ行って、何かあるか見て来ます。あなたや他の方は、岩の下の方へ下りて貝を採って来て下さい。」 「スイス家族のロビンソン」 「私は猿に石を五つ六つ投げ始めました。猿は人真似する癖があるから、木に実っているココナッツを毟り取って大変な勢いで投げたから、早速拾って私はその実の皮を剥ぎました。」 「詩集」 「僕はあなたのお側にいる時の平素同様に、僕の服を折り目を正しく整えているんです。」 「火を起こすのですから、あなたの時計の蓋ガラスを貸してもらいたいのです。」 「ねえクライトン!余程時間も遅れているのだから、朝の食事の支度を急いでしてちょうだい!」 「小川へ行って水を一杯汲んで来なさい!」 「水を運んだりしたら、僕弱ってしまうよ。」 「トゥイーニ!俺はアーネストさんを連れて川へ水汲みに行くから、火の側を離れるな!」 第5巻 「この次に、正直に仕事をしないと、こんなことは 【5頁 下段】 幾度でもあるぞ。」 「トゥイーニ!お前にお給金を払ってるのはクライトンじゃないのよ。私だよ。」 「お嬢様、我々一同はこの島で、今後一生暮らすようになるかもしれません。だからこの島では物を買うお金といえば働くということの外はありません。働きの嫌いな人は寒くなって飢えて……。」 「クライトンや、妹や私が働かなければ、お前は私等に食べさせないというのかえ?」 「早く早く!虎が来た!」 「あらお父様!あなたが来て下さったからにはあなたがこの島の一等上席の地位に就いて下さいな。」 「クライトンや、この島の頭に誰がなるかという問題は只一度きり取り決めればいいのだ!元々貴族に生まれた俺が当然皆に指揮しなければならぬ。」 「旦那様、私どもは英国にいます時、誰を頭にするのしないのという様なことは少しもありませんでした。またこの島でもそれを決めることもございますまい。ですが今差し迫った問題はメリー様の黄金で装ったレースをお借りしたいのであります。丁度誂え向きの魚取り網になりますから……。」 「お前は今すぐにお詫びするか、それとも一ヶ月後には暇をやるからその積もりでいるがいい!」 「それでは、もしクライトンが私の仲間から離れて出て行かないというならば、私等の方からクライトンと別れてしまいますよ。」 「英国で貴族であるということと、無人島で貴族であるというのとはまた別問題である。」 「太陽の照っている昼の間勇気があるのと、夜の闇黒の中にあって勇気があるのとはまた別個の問題である。」 「アーネストさん!オックスフォード大学卒業の方は、執事頭よりも物事を知らないなんてことはございますまい――寒さに震えている婦人を暖かにする方法をご存じないのですか?」 「私は皆さんと同様に飢えているのです――けれど」

英語訳

【Page 2 Header Frame】 (2) Published June 25, 1920 (Taisho 9) Denkikan News Issue 78 【Page 2 Lower Section】 Special Grand Cinema Program Opening June 25, 1920 (Taisho 9) American Educational Pictures Film (1) Imperial Viewing Documentary [Day and Night in Paradise] 1 reel Narrator: Hosoyama Mugen American Paramount Pictures Arbuckle Film Director and Author: Roscoe Arbuckle "Fat Arbuckle and Alcent John co-starring" (2) Comedy [Fat Man's Camping Life] 2 reels "CAMPING OUT" Narrator: Tokunaga Tenro American Artcraft Pictures Special Film -- Master Cecil B. DeMille's Greatest Work (3) 《Artistic Masterpiece》 [Male and Female] 9 reels Cecil B. DeMille's production "MALE AND FEMALE" △Original Story: J.M. Barrie △Screenplay: Jeanie Macpherson △Director: Cecil B. DeMille △Cinematography: Alvin Wyckoff △Art Director: Wilfred Buckland △Production Manager: Howard Higgins △Producer: Jesse L. Lasky Company, November 1919 △Oriental Screening Rights: Nippon Katsudo Shashin Company [Commentary by] Nishikawa Yukon, Ishino Bashiro, Takaoka Kokken [Music by] Orchestra First and Second Division Performance 【Page 3 Header Frame】 Published June 25, 1920 (Taisho 9) Denkikan News Issue 78 (3) 【Page 3 Middle Section】 ==Film Synopsis== "So God created mankind in his own image, in the image of God he created them; male and female he created them"...Old Testament Genesis Chapter 1 Verse 27 "Added to God's creation, born into this world as a woman, involved in the complex fate of London's luxurious Loam family, 'Tweeny' serves"...Lila Lee "Earl Loam -- In this man's aristocratic and willful eyes, whether noble blood is truly blue or red like ordinary people's, will be revealed in the future (according to ancient lore)"...Theodore Roberts "Lord Loam's cousin Ernest Woolley, relying on his status, always dines at restaurants and makes enormous payments"...Raymond Hatton "Lord Loam's niece Agatha Lazenby, as is common with beautiful women, knows that managing her facial expressions moment by moment is more important than her actual appearance"...Mildred Reardon "Elder daughter Mary Lazenby is someone who needs to know that hands are not just for manicurists to polish but for working, heads are not just for beautiful decoration but for thinking, and hearts are not just for being constantly surprised but for loving people"...Gloria Swanson "The Loam family's head butler William Crichton -- This man is truly an admirable person"...Thomas Meighan "This won't do, if you keep doing such things, you'll end up on the gallows." "Humanity has certainly become refined, but perhaps it's becoming aristocratic -- though women bathe frequently, they haven't necessarily become more beautiful than ancient women. Why is it necessary to decorate bathrooms as beautifully as drawing rooms?" 【Page 3 Lower Section】 "You haven't been paying attention lately, you don't care at all about my bathing. The temperature must not exceed 90 degrees." "Rose water." "If someone told both the Loam family's daughter and the kitchen maid that their fates were so intertwined they could never be separated, both would stare and laugh." "Toilet water." "To the rose maiden -- This morning I shall call upon you, and on that occasion I shall present something nice for your lovely white fingers" -- Brockelhurst "Great quarrels arising from trivial matters." Reel 2 "This toast is too overdone and quite soft" (exchanging sarcasm with each other) "Is toast the only thing that gets ruined... Miss!" "Comparing things creates unpleasant feelings and can sometimes be dangerous." "That's fine, Crichton!" "Enjoying books in quiet places brings all people together, regardless of high or low status." "Poetry Collection -- William Ernest Henley." "Though glory days have passed All do not vanish to the grave In that time on this earth I was the King of Babylon-- You were -- a white slave--" "I am nobody's slave. You're wrong." "But I would become your slave." "Aggie! Have you seen Volume 2 of Henley's poetry?" 【Page 4 Header Frame】 (4) Published June 25, 1920 (Taisho 9) Denkikan News Issue 78 【Page 4 Middle Section】 "I saw you and seized you, drew you to my side, Your pride, alas, I shattered." "Ernie! Have you seen Volume 2 of Henley's poetry?" "Crichton, I'm looking for Volume 2 of Henley's poetry." (Same poetry as verse 7) "Oh, Crichton! I had no idea you liked the ancient Babylonian kings." "But here there is someone who knows nothing of Babylon but knows very well of a certain queen who appears in Cleopatra dances. His name is Lord Brockelhurst"...Robert Cain "Aren't he and the young lady good companions?" "Crichton, please serve Lord Brockelhurst whiskey with soda water!" "What concern is it to a lowly head butler that a fine young gentleman and lady were to marry soon!" "At tea time -- this relaxed moment -- a lady named Aileen visits to confide her troubling love affair to her dear friend and seek advice." "Aileen, we've just made plans to travel to the South Seas by yacht, why won't you come with us?" "Thank you, but I think I cannot go. I came to consult with Mary about something." "Mary, a friend of mine loves someone of lower status than herself. And that man also loves my friend and wishes to marry her... could these two people truly live happily?" "The man in question is employed at the woman's house." 【Page 4 Lower Section】 "Can you put a jackdaw and a bird of paradise together in the same cage! Really, Aileen! They must be of the same kind, you and I surely cannot deny this." Reel 3 "Well, Mary! You can say anything, but there's one thing you absolutely cannot ignore... that is love." "You servants have recently become quite presumptuous with no distinction between high and low." "People cannot well understand what others' hearts are like. When all people return to nature and become earth, you will no longer be a young lady and I will no longer be a manservant. We become what nature makes us." "On the waves, gliding away in that ship, The joyful lady passenger travels intending to return." "Crossing the rapids--" "Newspaper" -- Miss Aileen Duncraigie's Marriage -- Sudden Announcement -- Groom is the bride's family servant. Miss Aileen, only daughter of Duke Morn... "I think a woman would quickly tire of marrying such a man." "It's quite ridiculous. It's just like me marrying Crichton..." "Such a story might have ended there -- if the party had not been blown by wind to uncharted tropical seas..." "I became the young lady's maid and boarded the ship just to be near Mr. Crichton, but he won't even look at me..." "Poetry--" "This boat is for ladies. Sir, I'll prepare another boat immediately." 【Page 5 Header Frame】 Published June 25, 1920 (Taisho 9) Denkikan News Issue 78 (5) 【Page 5 Middle Section】 "Where is Miss Mary?" "I won't leave this boat until I find the young lady." "Suddenly -- like dew vanishing in sunlight -- Mary was no longer a fine lady to him. She was an ordinary woman -- merely a pitiable yet beautiful lady." Reel 4 "Where is Father? Has anyone seen Father?" "You must be wet and cold?" "Habit exerts great power over human nature, and habits don't change suddenly. The Loam family, accustomed to perfumed baths, don't yet understand that nature's alarm clock is the rising sun." "I'll go to the wrecked ship to see if there's anything there. You and the others go down below the rocks and gather shellfish." "Swiss Family Robinson" "I began throwing five or six stones at the monkeys. Since monkeys have the habit of imitating people, they plucked coconuts from the trees and threw them with great force, so I quickly picked them up and peeled the fruit." "Poetry collection" "I keep my clothes properly pressed just as I do when I'm by your side normally." "I need to borrow the glass cover of your watch to start a fire." "Now Crichton! Time is quite late, so please hurry and prepare breakfast!" "Go to the stream and fetch a cup of water!" "If I carry water, I'll get weak." "Tweeny! I'm taking Mr. Ernest to the river to fetch water, so don't leave the fire!" Reel 5 "Next time, if you don't work honestly, this will 【Page 5 Lower Section】 happen many times." "Tweeny! It's not Crichton who pays your wages. It's me." "Young lady, we all may have to live on this island for the rest of our lives. So on this island, the only money to buy things is work. Those who dislike working will become cold and hungry..." "Crichton, if my sister and I don't work, you won't feed us?" "Quickly, quickly! A tiger is coming!" "Oh Father! Since you've come, please take the highest position on this island." "Crichton, the question of who becomes the head of this island need only be decided once! I, born a nobleman, must naturally command everyone." "Sir, when we were in England, there was never any question of who should be head. Nor should such a thing be decided on this island. But the pressing problem now is that I'd like to borrow Miss Mary's gold-trimmed lace. It would make a perfect fishing net..." "Will you apologize immediately, or should you expect dismissal in a month!" "Well then, if Crichton won't leave our group, we'll separate ourselves from Crichton." "Being aristocratic in England and being aristocratic on a desert island are separate matters." "Having courage during the sunny day and having courage in the darkness of night are separate issues." "Mr. Ernest! Surely an Oxford University graduate doesn't know less than a head butler -- don't you know how to warm a woman shivering with cold?" "I'm as hungry as everyone else -- but"