徳島県立図書館所蔵資料を翻刻

コレクション: コレクション1

近頃古狸珍説 礼義智信 - 翻刻

近頃古狸珍説 礼義智信 - ページ 54

ページ: 54

翻刻

禁長すこぶる偽りの謀計大きもの なり故に味方に気遣ゆるませ其 虚(きよ) に乗りて押よせ来らんとの工(たく)み成べし 旁油断ならしと申ければ皆〳〵尤と 同じまた〳〵一昼夜が間厳敷守ると いへども何の音信(おとづれ)もなきゆへ今は心も ゆるみ次第に用心 怠(おこた)りけり夏に禁長(きんちよう) はち千代ヶ丸迄出張し敵の様子を伺 がひしに六右衛門は津田山か下に陣(じん)を取 其勢六百余りにて控へ候といふ禁長 是を聞(きいて)て味方を二手になし一方は 衛門三郎に弐百の狸を添(そへて)へて本道 より進ませ其身は小鷹熊鷹に屈(くつ) 竟(けう)の狸八十程引連 密(ひそ)かに浜辺を伝(つたい) ひ津田山へ登り敵を眼下に見下し 衛門三郎の来るを待居けり