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禁長すこぶる偽りの謀計大きもの
なり故に味方に気遣ゆるませ其 虚(きよ)
に乗りて押よせ来らんとの工(たく)み成べし
旁油断ならしと申ければ皆〳〵尤と
同じまた〳〵一昼夜が間厳敷守ると
いへども何の音信(おとづれ)もなきゆへ今は心も
ゆるみ次第に用心 怠(おこた)りけり夏に禁長(きんちよう)
はち千代ヶ丸迄出張し敵の様子を伺
がひしに六右衛門は津田山か下に陣(じん)を取
其勢六百余りにて控へ候といふ禁長
是を聞(きいて)て味方を二手になし一方は
衛門三郎に弐百の狸を添(そへて)へて本道
より進ませ其身は小鷹熊鷹に屈(くつ)
竟(けう)の狸八十程引連 密(ひそ)かに浜辺を伝(つたい)
ひ津田山へ登り敵を眼下に見下し
衛門三郎の来るを待居けり