翻刻
来り勢揃へをなし其備へをいたし
けるまづ先 陣(じん)は藤樹寺(ふしのきじ)小鷹熊鷹
二陣は高須院元松の木のおやま三陣は
大将禁長左右よりは火の玉金の鶏也
後陣は地獄橋衛門三郎田の浦太左
衛門也都合其勢三百六十疋也 斯(かく)て
禁長は千代ヶ丸にて兵糧を遣ひ
密(ひそか)に敵のよふすを伺ひける扨又津田
方には禁長よりの一書を得てより
定めて早速押寄来るべしと昼夜
寐る事もあたわず守りけれども何
の音もなし六右衛門は手下を集評義
しけるは禁長我に戦書を送り越し
其夜にも押寄来るべしと思ひの外
今日まで何の音もなきは定(さだ)めて叶わ
ぬと知つて臆(おく)せしならん此上は何ぞ
守るに及ばんや早〳〵打くつろぎ体【休ヵ】
息すべしと申ければ作右衛門のいわく