翻刻
拙(つた)なき味方の有様かな叶わぬ時は
討死(うちじに)せよと自身(じしん)真先(まつさき)に進み下知
しける其詞にはげまされ院?元(いんげん)を始
おやま等(ら)爰を引じと喰合ける根井(ねい)
のお玉は石 投(なげ)の名人なれば何卒能敵
と見は打殺さんと馳廻りて尋けるに讃
州(しう)の役右衛門は味方をはげまし戦ひ
しが何心なくお玉と行逢たりお玉は
得たりと独(ひと)り悦び少し退そいて祢(ね)
らいをかためはつしと打たばあやま
ず役(やく)右衛門が鼻(はな)ばしらに当(あた)り急所
のいた手にたまり得ず其侭とふと倒(たをれ)
ける敵(てき)味(み)方の者是を見てしたり〳〵と
ほめにける爰に又高須院元松の木
おやま讃州(さんしう)の八兵衛新手にて入 乱(みたれ)
て喰合しが八兵衛は聞ゆる石投の名
人にて矢庭に八疋は計り石にて打殺
しける松の木のお山此体を見てもの